「一般的な出会い」と「ネット経由の出会い」の違い

 本来であれば、ネットは単なる出会いのツールに過ぎず、それ自体は良いものでも悪いものでもありません。肝心なのは出会ってからであり、うまく行く人もいれば、うまく行かない人もいる。それだけの話だと思います。

 しかし……。SNSやマッチングアプリには「取扱注意」な部分があることも確かです。

 よく考えると、いきなり一対一で会えるなんて結構すごいことです。「友達未満」から始まる一般的な出会いと比較してみると、その特異さが際立ちます。

 例えば会社や学校で気になる人ができた場合、まずは「同僚」や「クラスメート」といった枠組みの中で関係性を深める努力をすることになります。相手は自分をどう思っているか、相手に恋人はいないか、自然な誘い方はないものか……など、いろんなことを慎重に探りながら距離を詰め、どこかのタイミングで勇気を出してデートに誘ってみる。それでOKをもらえてようやく一対一の関係(以後、「デート関係」と呼びます)が始まります。

 ネット経由の出会いは、こういったプロセスをすっ飛ばし、いきなりデート関係から始まるわけです。みんながこれに飛び付きたくなるのも分かります。

 しかし、これによってある種の「錯覚」が起こりやすくなり、かえって恋愛を難しくしてしまう側面もあります。それは、どういうことなのでしょうか。

 その構図について、次のページから説明していきます。