ネットの出会いツールはなぜ「取扱注意」なのか

 ネット経由の出会いがショートカットするプロセスを簡単にまとめると、こうなります。

(1)出会う
(2)相手を知り、自分を知ってもらう
(3)相手の中に恋愛する意思があるか確認する
(4)リスクを冒して誘ってみる
(5)OKが出る
(6)デート関係になる

 例えばこれが一般的な出会いだったら、(6)に進む頃には二人の仲もそれなりに縮まっていることと思います。時間と労力をかけて各ステージをクリアしてきたわけで、「ようやくデート関係までたどり着いた!」という手応えも感じられるかもしれません。

 一方、ネット経由の出会いはいきなり(6)から始まります。もちろんオンライン上で(1)から(5)のステップを踏んでいるわけですが、そこはかなり簡略化されています。(特にマッチングアプリでは(3)「恋愛する意思」がある前提での出会いなので、フィーリングさえ合えば話が極めて早く進みます)。

 先に「錯覚」と言ったのはこの部分に関することで、ネット経由の出会いは単にデート関係「から」始まるというだけに過ぎないのに、なぜか認識だけは一般的な出会いのモデルで捉えてしまい、すでにデート関係「まで」進展していると錯覚してしまう──。これが「取扱注意」だと感じるゆえんです。