色気のある会話とは?

 ここで、麻里絵さんにとっての「核心」である「色気のある会話」について考えてみます。これが具体的にどのようなものなのかは、麻里絵さんが好きになりかけた「おじさま」とのデートが参考になります。相談文によると、「悩みや過去の恋愛、仕事の目標といったことを話す中で、励ましたり優しい言葉を掛け合ったりしているうちにいい雰囲気に」なったとのことでした。

 我々がこの部分を読んで感じた素朴な疑問は、「過去の恋愛」はまだしも、「悩み」や「仕事の目標」にいわゆる色気があるのか、ということです。普通に考えると、恋愛の香りも性の匂いもしないのではないでしょうか。また、麻里絵さんは「おじさま」が意図的に色気づくりをしたと考えているようですが、それだと麻里絵さんの誘いに乗ってこなかったという行動の説明がつきません。

「核心」に踏み込んだという実感

 ただし、我々は麻里絵さんが勘違いをしたと言いたいわけでもありません。麻里絵さんが色気やムードを感じたことは否定しようのない明確な事実です。ここで考えるべき重要なことは、「おじさま」との会話には一般的な意味での色気のある話題はほとんど挙がらず、また、「おじさま」にそのつもりがなかったのにもかかわらず、なぜ麻里絵さんが「核心(=色気のある会話)」に踏み込んだという実感を持っているのか、ということです。“周辺”をぐるぐるしているだけの他の男性との会話と、どこが違ったのでしょうか。その違いが分かれば、核心への踏み込み方が分かるはずです。

 やや回りくどかったかもしれませんが、準備ができましたので、この原稿もそろそろ核心に踏み込んでいきます。