「私はイヤだった。あなたはどう思うか」と問うてみる

 さて、ここまでちょっと説教臭い話になった上、由衣さんの態度を非難するような形にもなってしまい、心苦しさが残ります。

 しかし、現段階で違和感を抱えている以上、我慢して付き合ってもいずれ表面化することは間違いないので、やはり話し合ってみるより他はないと思うわけです。

 話し合いとは裁判やディベートのように善悪や勝ち負けを決めるものではなく、二人の主張を擦り合わせ、合意や納得をそのつど形成していく行為です。そのためには前提として対等な関係であることが求められます。先に「正義の側・ジャッジする側にいる」という意識を問題視したのはそのためです。

 ここまで来たら、あとはもう具体的に彼と対峙してみるのみです。「私はあなたのことが好きだし、恋人になっていい関係を築いていきたいと思っている。だから聞いてほしいのだが、服にケチをつけられたり、約束を守ってもらえなかったりしたことが、私はとてもイヤだった。あなたはどう思うか」という内容のことを、自分なりに伝えてみるしかありません。

 これは前向きな話し合いであり、彼を責めたいわけでも、彼と戦いたいわけでもないことを、最初に伝える。そして、これは二人の感情を擦り合わせる行為なので、規範や常識をバックに「ダメ」と言うのではなく、私的な感情を根拠に「イヤだった」と伝える。話し合いの原則としてはこれくらいのもので、適切なタイミングや言い方に関しては、トライアンドエラーを繰り返す中で身に付けていくしかないでしょう。