一対一の関係から“新しい三角関係”へ!

 まりこさんが上司に感じた魅力は、実はそのまま「まりこさんが求めているもの」と読み解くことができます。すなわち、何でも話せて、自分のことを気づかってくれて、会話をするときには質問をしてくれて、相談をしても自分の意見を押しつけてこない──。そういうものを、まりこさんは男性に求めているわけです。

 これは極めてまっとうな願いだと感じます。人間として尊重され、相手から興味を持たれたいというのは、老若男女問わず誰もが抱く普遍的な思いでしょう。なのに、同世代の男性には求められない。期待できるのは成熟した年上男性だが、そうなると大抵が既婚者になってしまう。だったらもう、不倫かセフレでいいのかもしれない……。まりこさんは今、そんな気持ちになっているのではないかと想像します。

 しかし、「相手を尊重し、人間として興味関心を抱く」というのは、はたして年齢を重ねないとできないことなのでしょうか? 我々はそうは思いません。誰だって、例えば尊敬する人や気心の知れた友人に対してこういった眼差しを向けているはずです。だからこれは、「30代の男性にその能力がない」という話ではありません。かといって、「まりこさんには相手から関心を持たれるような魅力がない」という話でもありません。現状まりこさんが男性からそういった“関心の矢印”を得られていないとしたら、それは単に「関係の築き方」の問題ではないかと考えられます。

 というのも、人間的な関心(=interestingという感覚)というのは、例えば相手のセンスや能力、目のつけどころ、知識や発想力、言葉の選び方、行動力や経験値……などといったものに対して抱かれるものです。そう考えると、男性から関心の矢印を得たいならば、まりこさんの知識やセンスが発揮されやすいシーンを数多く共有する方が合理的、ということになります。

 これは意外に見逃されがちなことですが、例えばデートというのは互いを“恋愛的”に探り合う場であり、“人間的”な判断を下すことに必ずしも向いているとは限りません。

 だからまりこさんが彼氏を作るためには、男性と一対一で向き合うことよりも、趣味や特技、仕事やコンテンツといった“第三者”を媒介にしたコミュニケーションを心がけた方が近道です。

 桃山商事ではこれを“新しい三角関係”と名づけ、相談者さんに推奨しています。この第三者のところには、いろんなものが代入可能です。

 恋愛は確かに一対一の関係ですが、つき合っても、結婚しても、ずっと一対一で向き合い続けるというのは意外にしんどいものです。それももちろん大事なことですが、好きな映画や本を共有して感想を言い合ったり、ニュースについて語り合ったり、一緒に仕事をしてみたり……そうやって上手な三角関係を作りながら、互いの知識やセンスに対して敬意や関心を払い合っていく。まりこさんの需要にフィットしているのは、そういった恋愛関係の築き方ではないでしょうか。

 人間関係の中で安心感を得るためには、相手からのリスペクトや興味関心は不可欠なものです。そのためにも、「向き合う関係」から「三角関係」へのシフトをぜひオススメしたいと思います!