お悩みジャンルその2「本当にこの人でいいのかな」

~こんな悩みのあなたに~
・デート相手にピンと来ない
・「タラレバ」ばかり言っている
・不倫に走りそう
・彼氏との将来が描けない
・ダメ男に惹かれがち

――この悩みを持っている人に共通する特徴はありますか?

清田 「なんで私じゃダメなの?」のケースとは逆で、この悩みを抱きがちなのは、「彼氏や恋人候補はいるものの、あまりピンと来ていない」という状態にある女性たちです。どちらかというと自分が「追いかけられる」側で、主導権を握っている。自分の意志次第でどうにかなるけど、本当に踏み出していいのかを悩んでいる状態ですね。

森田 自分が置かれている状況や相手に対して、どこかで違和感を感じてしまっているんですよね。

清田 相手への漠然とした「違和感」は感知しているけど、何が「問題」なのかをはっきり認識しているわけではない。もちろん、違和感があるならやめたほうがいいという話かもしれませんが、アラサー女性たちは出産願望の有無に限らず「妊娠のリミット」という時間的な制約を意識していて、例えば「ここで別れたら、次の彼氏と出会うまで1年、付き合って3年、そうしたら子どもが産めなくなるかも……」といった発想が背景にあったりするので、簡単に割り切れる話ではない。

森田 相手の職業や年収、資質といった「条件」が違和感に勝ちそうになることも往々にしてあります。ただ、自分で自分をごまかそうとしても、現実として「悩んでいる」わけです。だから出発点として、自分が抱いている違和感自体をちゃんと肯定してあげることが必要だと思っています。

――「この程度の違和感ならいいんじゃないか」と思いたくなります。

清田 違和感ははっきり存在しているのに、「好条件」や「周りからの声」といった要素にコーティングされて、見えなくなっている。でも、「条件が良いからここには目をつぶろう」という発想は危険です。勘や直感という身体が発しているシグナルは最も信頼できるものなのに、それを無理やり論理でねじ曲げようとしているからです。

「違和感」の理由が分かれば解決できる

――では、違和感を感じたらどうすればいいのでしょう?

森田 自分の中の違和感を、ひとつひとつ言語化していくことが有効だと考えています。

清田 違和感って、最初はぼわーっとした低解像度で知覚されるものだと思います。言語化というのは、違和感の輪郭をはっきりさせて解像度を上げていく作業ですよね。自分が感じているのはどういう気持ちなのか、それはどうして発生したのか……など、言葉で追いかけていく。そうやって違和感の正体をつかむことができれば、そこから先は「話し合う」なり「別れる」なり、具体的なアクションが取れるようになる。

――違和感の正体が分かると答えが見えるということですか?

森田 明確な答えが分かるというよりも、それが自分の働きかけによって乗り越えられる違和感なのかどうかが見えてくる、といったイメージでしょうか。それは相手と話し合って擦り合わせしていくことで解決できる違和感かもしれないし、自分ではどうにもならないものであることが分かるかもしれないわけです。だから「どうにもならないなら撤退する」という選択肢を持っておくことも必要だと思います。

清田 嫌だったことが何かに気づけたら、「嫌だ」と言ってみることもできるかもしれません。

森田 ただ同時に、相手は自分ではないので、違和感があるのは当たり前だという前提を認識しておくことも大切ですよね。

清田 違和感が相手のせいか、自分のせいか、関係性の中に発生するものなのか。それは許せるのか、許せないのか──など、いろいろはっきり見えてくるわけで、だから違和感を無視せず拾っていくのは前向きなことではないかと考えています。

――なるほど、ありがとうございます! 後編では、「男ってなんなの?」「好きな人すら見つからない」の2つのお悩みジャンルについて、お話を伺っていきます。

*後編はこちら→ 恋の悩み 掘り下げると「孤独への不安」にたどり着く

聞き手・文/飯田樹 図版出典/「生き抜くための恋愛相談」


桃山商事さんの新刊
「生き抜くための恋愛相談」

著者:桃山商事
出版:イースト・プレス
価格:1400円(税抜)
Amazonで購入する