「その態度はおかしい」と言っていい

――そういう態度を取る男性に対して、どうしたらよいのでしょうか?

森田 基本的には「その態度はおかしい」と、遠慮せずに言ってほしいと思っています。例えば突然不機嫌な態度を取られたら、「不機嫌になるって甘えでしょ。根っこの部分で、自分のほうが強くて偉いと考えてるからそういう態度を取っても許されると思ってるんでしょ」と、バッサリいくのが一番効果があるはずなんです。ただ、なかなかそこまで言うのも難しい場合も多いと思いますので、そんなときには、「不機嫌になられると怖いし悲しい」と、そのときの自分の気持ちを素直に伝えてみてはどうでしょうか。

不機嫌な態度は、「便利」だったんです 出典/「生き抜くための恋愛相談」
不機嫌な態度は、「便利」だったんです 出典/「生き抜くための恋愛相談」

清田 人間誰しも機嫌が悪くなってしまうことはありますが、そのことと「相手の前で不機嫌な態度を取ること」はまた別問題なんですよね。不機嫌な態度を取れば、相手が自分に気を使ってくれたり、自分の要望が通ったり、相手より優位な立場に立てたりする。そういうことを経験的に知っているんだと思います。言うなれば不機嫌は「便利な手段」なわけで、究極的には「男性自身が自覚して変わるしかない」という問題なんですが……。

森田 だんまりを決め込む相手に対して、解決のために話を切り出すのは強いストレスがかかりますよね。だから切り出す女性側には、「二人の問題を解決するために、なんで私ばっかりストレスを負わなきゃいけないんだ」という感情が湧いてくるはずです。その感情は至極まっとうなものなんですが、一方で、切り出してもらっている男性は、「なんかいっつも責められてる」と、下手をすれば被害者意識を持っている場合もあるわけです。それが本当に子どもっぽい考え方だということは、男性が自覚すべきことです。これも恥ずかしながら、自分の身に覚えがあるからぺらぺらと語れるわけなんですが……。

清田 この本では相談者である女性に向けて回答を書いているので、「あなたが取り得るアクションはこうです」と言っていますが、一方で、「女性側がそこまでする必要あるのかな……」という気持ちも正直あり、そこは申し訳なく思います。本当は男性側の問題だし、その場に恋人がいたら「彼氏さんとしてはどう思っていますか?」と聞いてみたい。

――この悩みを抱えている人に共通して言えるアドバイスは?

森田 「ケアしてあげている」という感覚は大事にしたほうがいいんじゃないでしょうか。その感覚を肯定することで、「自分にとってこの人は、ここまでしてあげる価値がある男なのかな?」と考えるきっかけになって、二人の関係性を問い直すきっかけにもなると思います。

清田 女性側が不当に担わされているコストや作業をいったん明らかにすることで、「これって疑問を持っていいことなんだ」と気付けるのは大きいのではないでしょうか。

森田 ただ、切り出すときは「みなまで言わずとも分かってもらえるだろう」という期待はあまり持たずに、できるだけハッキリ言ったほうがいいと思います。

清田 身近な人間とはいえ相手は他者なのだからと割り切って、ゼロから説明するくらいの気持ちが大事なのかなと思っています。