ファンという立場を脱却し、恋人候補としてエントリーする

 もちろん、ファンがダメという話では決してありません。次々と好きな人が見つかるというのはある種の特殊能力だし、ファンという立場でトキメキを楽しむという生活も全然ありなはず。しかも、相手は遠い世界の芸能人ではなく、身近に実在し、ちょっとした交流も可能な人たちです。関係性の発展を望まなければ、むしろ日々トキメキを享受できる刺激的な環境と言えるでしょう。

 また、関係性の枠組みが決まっていることは、ある意味で楽だし安心です。ファンとアイドル、客と店員、上司と部下、先生と生徒……などなど、固定した役割やポジションがあれば、それに応じた振る舞いをすることでコミュニケーションが成立するからです。

 だから、「今の状態もさほど悪くはないかも!」という風に認識さえ変えることができるなら、現状維持も全然ありな道だと思います。しかし……カナさんの希望は現状の打開です。つまり、彼らと恋愛関係になることを望んでいる。

 だとすると、まず初めにすべきことは「ファンという立場を脱却し、恋人候補としてエントリーすること」となります。今回の例で言えば、彼らとのビジネスライクな関係を突き崩し、個人対個人のプライベートな関係に持っていく、ということです(時計屋の彼とは連絡先を交換し、その第一歩は踏み出したように思いますが)。