「解決策と共感」を男子はどう認識しているか

 「女の悩み相談は解決策ではなく共感を求めているだけ」というのは、ある種の「俗説」として流布しているものです。実際にこの説を信じている男性は一定数いて、おそらく彼らの中には下記のような認識があります。

解決策=具体的かつ実践的なアドバイスを提示すること
共感=女性の話に肯定的な相づちを打つこと

 つまり、「そうだね」「なるほど」「分かるよ」「つらいね」など、とにかく相手の話にうんうんと相づちを打つことが、彼らにとっての「共感」なわけです。だから、彼らの中に「女性の話を聞いていない」なんて自覚はおそらく皆無で、むしろ「聞いてあげてる」という意識すら持っていると考えられます。

 しかし、当のかほさんは「話を聞いてもらえていない」と感じている。このズレが、今回の問題のポイントではないかと思います。

「共感>解決策」なのか、「解決策>共感」なのか

 「解決策ではなく共感を求めている『だけ』」という言葉が物語るように、俗説を信じている男性たちは共感に価値を置いていません。女性は「共感>解決策」と感じているようだが、自分は「解決策>共感」だと考えている──。そんな意識が見て取れます。

 このようなマインドを極端な形で言語化するなら、「どうせ女は自分の話を肯定してほしいだけなんでしょ? こっちが一生懸命考えた解決策より、単にうんうん共感するだけのほうがいいんでしょ?」という感じになるかと思います。

 誰かに教えられたからそう信じている人もいるだろうし、周囲やメディアの影響で自然とそう考えるようになった人もいるでしょう。また、何度も女性の相談に乗り、うまく行かなかった経験を積み重ねる中でこのような実感を得るに至った人もいるはずです。

 経緯は人それぞれだと思いますが、いずれにせよ、こういった認識によって共感を「相づちを打つこと」程度に考えているのが男性たちの共通点だと考えられます(余談ですが、「誰かに相談する時点で答えは既に決まっている」「他者に背中を押してほしいだけ」などの俗説もこのマインドを補強しているように感じます)。