睡眠に良い習慣で「朝すっきり」

池田:夜と朝は密接につながっていると思います。朝すっきり起きるために、夜に気を付けるべきことはありますか?

西多:夜の過ごし方は重要で、睡眠に良い習慣を心掛けなければなりません。よくいわれていることですが、明るさは人を覚醒させるため、夜はなるべく明るいものを避けましょう。スマートフォンの明るさを落としたり、ブルーライトをカットするフィルムを貼ったりして、明るくなり過ぎないようにすることが大切です。また、アルコールは睡眠を浅くするため、少なくとも寝酒は控えてください。

池田:トイレも近くなってしまいますよね。

西多:コーヒー、紅茶、緑茶、一部のエナジードリンクに含まれているカフェインは、摂取してから4~5時間、代謝が悪いとより長時間体内に滞留し、脳に作用します。これらは夕方から飲まないくらいのスタンスが必要です。私は午後4時以降はカフェインを取らないようにしています。今はデカフェがはやっており、ハーブティーもいろいろな種類が売られていますね。寝る前にコーヒーや紅茶を飲んでも眠りが浅くなった感じがしないという人もいますが、脳波を取ると、明らかに深い睡眠が減っているのです。

池田:午後2時~3時の「ほっと一息」で、カフェインの摂取は終えたほうがいいのですね。

西多:それから、睡眠のために理想的なのはお風呂に入ることです。あまり熱いと覚醒してしまうので、温度は40~41度のぬるめが良いでしょう。

池田:お風呂はリラックスできるという理由でいいのですか?

西多:リラックスもできますし、お風呂に入ると深部体温が上がります。人間は深部体温が高い状態から下がるときに眠くなります。深部体温を下げるためには、逆に少しだけ深部体温を上げてやればいいんです。哺乳類である人間には体温を一定に保とうとする性質があるため、お風呂に入って温まることで、上がった体温を下げようとする働きが生まれるのです。お風呂なら、自然な形で深部体温を上げることができます。

池田:何分くらいの入浴がおすすめですか?

西多:十分リラックスできればよいでしょう。家のお風呂なら少しゆっくり湯船につかってもいいのですが、温泉は入り過ぎると湯あたりしてしまうので、一概に何分とは言えません。ただ、今の社会人の生活では、湯を張らないこともあると思います。その場合は、足湯でも一定の効果が出ることが確かめられています。シャワーは、意味がないことはないのですが、深部体温を上げる効果は弱いです。

池田:夏はシャワーだけにする人も多いと思いますが、これからお風呂に入るのが気持ち良くなる季節ですよね。入ってみるといいかもしれません。

西多:毎日お風呂に入るのが大変であれば、最近はスーパー銭湯などがありますよね。朝活のような気分で、自分が睡眠を深めたい日に合わせて、たまに利用するという方法もあります。週の真ん中で疲れが出る日でもいいですし、平日は無理なら週末に行くという考え方もあるでしょう。

池田:イベント性があって、楽しそうですね。