朝食で「体温上昇」「貧血防止」

 では、朝食を食べることによって、どんな効果があるのでしょうか。

 「朝ごはんがもたらす健康効果はたくさんありますが、特に重要なのは『体温を上げること』と『貧血防止』です。日本人の平均体温は36.89度であるのに対し、20代女性の平均体温は36.1度。平均値未満が5割近くもいることが調査報告されています(※注1)。体温は寝ている間にさらに1度下がりますから、きちんと朝ごはんを食べ、消化によって熱を上げることが大事なんです。私たちの調査では、朝ごはんを食べている人ほど体脂肪が少なく、筋肉量や骨密度も多いことが分かっています」(細川さん)

 もし、朝食を食べないとお昼前には体温が下がり、手足や体の冷えを感じてしまいます。体温は免疫作用にも関わるため、風邪やインフルエンザなどの感染症にもかかりやすくなります。

 「もう一つの『貧血防止』ですが、まるのうち保健室の調査では400ccの献血を断られるほどの貧血状態である人が約4割いました。その他の調査結果においても、20~40代の女性の約2人に1人が潜在的な貧血だという結果が出ています(※注2)」(細川さん)

注1:「女性の体温と恋愛に関する意識調査」マーシュより
注2:平成20年国民健康・栄養調査

数値上では「常に貧血状態」の女性たち

 貧血と聞くと何となく「立ちくらみ」の症状だけかと思いがちですが、立ちくらみや目まい以外にも冷え性、疲れやすい、顔色の悪さ、PMS(月経前症候群)の悪化、精神的なアップダウンが激しくなるなどの慢性的な症状を引き起こします。貧血予防のためには鉄分の摂取が必須ですが、それにも私たちは知識不足のところがあるようです。

 「貧血症状のない鉄欠乏に該当する女性が約40%もいます。女性が1日に必要な鉄分量は10.5mg。ところが毎月の月経で損失する量は約22.5mg。さらに毎日、汗や尿から約1mgが排出されますから、月経が正常であれば『常に鉄分が足りない』と意識して、積極的に摂取することが大切です」(細川さん)

 体内の鉄分は「ヘモグロビン」と「フェリチン」という異なる形態で存在しています。フェリチンは肝臓にためられている貯蔵鉄のこと。ヘモグロビンが足りなくなるとフェリチンから補われる仕組みになっているため、フェリチンは「銀行口座」、ヘモグロビンは「お財布の紙幣」に例えられます。

 「血液検査でヘモグロビンの数値が低いときは、フェリチンの貯蔵鉄を使い果たしている可能性もあります。健康診断や血液検査では、両方の数値をチェックしておくといいですね」(細川さん)

貧血予防には「ヘム鉄」を摂取する

 貧血予防にやみくもに鉄分を摂取すればいい、というものでもありません。鉄分を摂取するときは動物性食品に含まれる「ヘム鉄」か、植物性食品に含まれる「非ヘム鉄」かにも気を配るのがポイントです。

 吸収率はヘム鉄のほうが優れています。ですから、非ヘム鉄(ほうれん草、ひじき、切り干し大根など)を食べるよりも、ヘム鉄(牛肉、豚肉など赤身のお肉、マグロやカツオなど赤身の魚、あさりなどの貝類)を食べるほうが効果的です。食事で取るのが難しい場合は、ココアなどの飲み物や「Feプラス」と表示のある補助食品を選んでもいいでしょう。

赤身肉や赤身魚を食べて「ヘム鉄」を摂取しましょう (C) PIXTA

 また、食後の飲み物にも注意が必要です。非ヘム鉄はお茶やコーヒーなどに含まれるタンニンによって吸収が妨げられるので、貧血気味の人は食後30分以内のコーヒー、紅茶、緑茶、ウーロン茶などは避けるようにしましょう。

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 「現在、特に不調がない人ほど、『自分は元気!』と過信してしまいがち。でも、朝食を抜くと肥満のリスクは高まります。日本女性を対象とした研究では、肥満が乳がんの発症リスクを確実に高めることが示されています。大きな病気をするとライフプラン・キャリアプランがそこでリセットされてしまい、多額の治療費がかかれば、マネープランにも影響します。朝ごはんは生涯にわたって自分を支えてくれるものですから、しっかり食べてくださいね!」(細川さん)

 もしかしたら、朝食を食べている人も「カロリー摂取」や「義務」のために口にしていたかもしれません。でも、朝食は「健康に必要な栄養補給」と意識すると、さらに食べる意欲が湧いてきますね。

 次回は実際に何を食べたらいいのか、具体的なメニューを細川さんに教えてもらいます。

文/三浦香代子 グラフデータ出典/Will Conscious Marunouchi「まるのうち保健室」