ほんの少し、言い回しを変えてみよう

 同じことを言うにしても、別の表現をすれば、全く違った印象になります。例えば、こういう表現だったら、どう感じますか?

(1)私は入社以来9年間、ずっと総務部勤務ですから、(2)ほとんどの社内ルールを熟知しておりますし、社内で稟議(りんぎ)を通し、予算確保するコツも知っています。社内の経営幹部との接し方も心得ています。(3)今回のプロジェクトでは斬新な企画が出ることと期待しておりますが、(4)迅速に社内で承認していただき、実現させていく際には、必ずお役に立てることと存じます。私の今までの経験を生かせる場に参加することができて、たいへん楽しみにしております。(5)どうぞ、総務部の仕事に関して、何でも遠慮なく聞いてください」

 ここでのポイントは5点です。

 (1)の部分は、自分の職務経験を示しています。ビジネスの場では、できるだけ具体的な数字を挙げて説明しましょう。

 (2)総務部の仕事しか知らないという「職務経験の狭さ」を、逆に総務部のことなら熟知しているという「ノウハウの深さ」に変えて表現します。大事なことですが、多少の「盛った表現」はウェルカムです。

 (3)これから始まるプロジェクトに関して、その成功を信じるという前向きな発言で、他のメンバーから好印象を持ってもらいましょう。

 (4)そのプロジェクトで、自分がどういう場面・役割で活躍できそうか、自分にはどういう得意技があるのか、しっかり強気でアピールします。

 (5)の部分は、他メンバーに対する貢献の姿勢を示します。こういう一言があると、周囲からは非常に頼もしく見えますね。

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 たかが自己紹介。されど自己紹介。人物評価をする際に、第一印象というのはその後もずっと引きずるほど重要なもの。初めて会う人に対して発するメッセージには、細心の注意を払いたいものです。

 え? いきなりそんなカッコいいことは言えない? 「いきなり」は誰にだって難しいですよね。私にもムリです。

 だから、自己紹介のセリフを「事前に」考えておけばいいのです。

 自己紹介が必要となりそうな場面は、あらかじめ予想できますよね。その場で何を言うべきか、事前に原稿を用意しておきましょう。自分を強く頼もしくアピールするポイントは、先ほどの5つ。

 ぜひ、次回までに、自分を強く頼もしく表現する「自己紹介のセリフ」を書いて、覚えておきましょう。そのセリフは暗記しておき、舞台に立った女優のように堂々と言うこともお忘れなく!

文/キャサリン門田 イラスト/六角橋ミカ 画像/清水知恵子