「朝食抜きでエネルギー不足」が低体温と関係?

 平均基礎体温が36℃未満という低体温気味の女性が多い背景には何があるのだろう。本田さんは、朝食を日常的に取っていないために、体温を上げるエネルギーと栄養が不足している可能性があると指摘する。

 「東京都と神奈川県の女子大学生56人に月経から10日間、基礎体温測定をしてもらい、生活習慣との関係を調べた別の調査で、基礎体温が低い群(低温期の平均36.08℃以下)で朝食を4~5日に1回以下しか食べない人が29%、日本人の平均並み群(同36.09~36.31℃)で23%。基礎体温が高めの群(同36.31~36.53℃)は全員がほぼ毎日朝食を取っていました。基礎体温が低い群ほど朝食欠食率が高かったのです」と本田さん。

 ただし、活動量や筋肉量、痩せていること、といった要素は、今回の研究では低体温には影響していなかったという。

体温が高い群では朝食欠食が見られない
体温が高い群では朝食欠食が見られない
健康な女子大学生56人(平均19.8歳、平均BMI20.4)を対象に、基礎体温・体調管理アプリを使用して、3カ月間の基礎体温測定と生活習慣に関するアンケート調査を実施。月経開始日から10日間分(低温期)の平均基礎体温を、低、中(日本人の平均)、高の3群に分け、朝食の回数との関係を分析した結果、高体温群では朝食欠食が見られなかった(データ:Woman Conditioning Multi Support Project「一般女性体温と食事」より)

月経異常、PMSの人は低体温になりやすい?

 また、18~23歳の女性アスリート40人を対象に体温と月経の関係を見た本田さんらの別の研究では、基礎体温が高めの群には月経痛や月経不順などの月経異常がなかったのに対し、基礎体温が低い群では4人に1人(24%)、平均並み群では7人に1人(14%)に月経異常があった。月経前に頭痛や腹痛、イライラ感、うつ症状などがある月経前症候群(PMS)も、基礎体温が高めの群では見られないのに対し、低い群では47%、平均並み群でも44%がPMSに悩んでいた。

 「月経痛や月経不順、PMSに悩む人は鎮痛剤を服用している方が多いが、鎮痛剤を服用し続けると体温が0.5℃下がるので、一度婦人科を受診し、きちんと診ていただくことをおすすめします」と本田さん。低温期でも基礎体温が36.31℃以上になるように生活改善することが有効といえそうだ。

体温が高い人では月経異常やPMSが見られない
体温が高い人では月経異常やPMSが見られない
体温が高い人では月経異常やPMSが見られない
健康な女性アスリート40人(平均年齢21歳、BMI平均22.0)を対象に、基礎体温・体調管理アプリを使用して、3カ月間の基礎体温測定と月経状況や生活習慣に関するアンケート調査を実施。月経開始日から10日間分(低温期)の平均基礎体温を低、中(日本人の平均)、高の3群に分け、月経異常と月経前症候群との関係を分析した。基礎体温が高い群ではPMSも月経異常も見られなかった(データ:Woman Conditioning Multi Support Project「アスリート女性と月経状況」より)