不調がない人の低温期の基礎体温は36.31℃以上

 「エネルギー不足や栄養不足状態が続くと、脳は生殖能力を犠牲にしてまずは体を守ろうとします。その結果、女性ホルモンの分泌が下がって月経異常になり、赤ちゃんが欲しいと思ったときに妊娠しにくくなるリスクも上がります。さらには体温が1℃下がると免疫力が30%低下するといわれています。体温は心と体の調子を見る大切なバロメーターです。基礎体温を測るのは面倒、と思うかもしれませんが、せめて月経開始から5日間だけでも基礎体温を測り、低温期の基礎体温が少なくとも36℃未満になっていないか、まずチェックしてほしい」と本田さんはアドバイスする。

 ではここでクイズを一つ。「月経があったら排卵もある」は、正しい?

 「正しくない」が正解だ。月経があっても無排卵なこともあるからだ。

 無排卵になっていないか、自分で確かめるために役立つのも基礎体温。低温期と高温期がきっちりあれば、排卵があると推測される。方法は、月経開始から3回目の月経が始まるまで2周期の基礎体温を測ってみること。「妊娠可能な年齢なのに低温期、高温期の差がなくて基礎体温がほぼ横ばいだったり、変動が激しく基礎体温の変化をグラフ化したときにギザギザした感じだったりしたら排卵がない可能性が高いです。そんなときは、産婦人科医に相談してほしい」と本田さん。

たんぱく質を積極的に取り、甘いものは減らして!

 さて、基礎体温を測ってみて、平均基礎体温が平均の36.5℃未満、あるいは低温期が36.2℃未満だったらどうしたらいいのだろうか。

 「朝食を取らない日がある女性は、必ず朝食を取るようにすることから。また、低体温気味の女性は、たんぱく質不足で甘いものの摂取量が多い傾向が見られました。低体温を改善するためには、甘い清涼飲料水や菓子類をなるべく取らないようにし、毎日の食事の中で、積極的にたんぱく質を取るようにすることも大切です。さらに運動をして筋肉を増やすことで代謝が上がり、基礎体温を高めることができます。低体温の改善は、PMSなどの不調の軽減にもつながる可能性がありますし、不妊の予防にもつながります」と本田さんは強調する。

 例えば、いつも、おにぎりとサラダを昼食にしている人なら、ゆで卵や納豆を加えるなどたんぱく質をプラスするといいという。

 今、疲れが取れない、冷える、肩が凝る、月経不順などの「なんとなく不調」に悩んでいる人は、その不調が低体温とつながっている可能性もある。月経から10日間の基礎体温をチェックして、36.2℃を下回るようなら、すぐに食生活を見直してみて!

文/福島安紀 イメージ写真/PIXTA

この人に聞きました
本田由佳さん
国立成育医療研究センター周産期・母性診療センター母性内科研究員
1997年順天堂大学スポーツ健康科学部卒業。健康計測器メーカー勤務などを経て、女性、アスリートの体組成・体温と生活習慣、栄養の研究、基礎体温記録手帳の開発・研究などに携わる。慶應義塾大学SFC研究所 健康情報コンソーシアム上席所員、産科婦人科舘出張 佐藤病院の研究コーディネーターも務める。「女性と子どもの健康力をあげて日本を元気に!」を使命に活躍中。一児の母でもある

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