実は便利! ノートや掲示板などアナログな手法を使った成功例

 続いて、メモ帳やノート、掲示板などを活用したアナログな方法での情報共有方法を紹介します。

社員宛ての電話がかかってきたら要件を聞いてメモを取っています。その後、日時・お客様の名前・要件・担当者の名前を分かりやすくまとめて伝達ノートに記載し、担当者の名前の書かれたマグネットをホワイトボードに貼っています。社員は事務所に戻るとすぐホワイトボードを確認し、自分の名前があれば伝達ノートを読むようになりました。(35歳、生活関連サービス、販売)

シフト制の職場で社員全員が一堂に会する機会がなく、また幅広い年齢層でデジタルツールが苦手な社員もいるため、アナログな掲示板を使っています。朝礼時にも連絡事項を伝達しているため、抜けや漏れはほとんどありません。(37歳、医療福祉関連、専門職)

秘書をしているので仕事用手帳に担当役員のスケジュールを書き込んでいます。しかしそれだけだと情報が共有できないため、卓上カレンダーに役員の予定を書き、他の秘書が見ても分かるようにしています。(45歳、教育・学習支援、秘書)

私が働いている福祉関連施設はパートのスタッフが8割を占め、時間の都合がつかない人も多く、会議の出席率は30%強という状況です。そこで事前にアンケートを配布し、やりたい仕事・個人的な業務負担・共有しておきたい情報などを匿名で記載してもらい、アンケートの結果をもとに会議の内容を決めることにしました。アンケートの結果は会議中にフィードバックしています。(37歳、医療福祉関連、専門職)

ノート、付箋、ホワイトボード… アナログな方法のほうが合っているという職場もあるようです (C)PIXTA
ノート、付箋、ホワイトボード… アナログな方法のほうが合っているという職場もあるようです (C)PIXTA

【業務改善士・沢渡あまねさんの評価ポイント】

 「実際、私自身がマネジャーで多忙だった時は、気の利く部下が『忙しそうだったのでデスクに付箋のメモを貼っておきました。時間のあるときに読んでください』と声を掛けてくれました。上司が忙しい状態で声を掛けるのは後輩の立場からすると気が引けることもありますよね。ですが、これなら互いが不快な気分になることもなく、スムーズに情報を共有できます。アナログな方法なら、色んな世代や立場の人にとって導入へのハードルも低いので取り入れやすいかもしれません。付箋などは視覚化されやすく、相手の意識にも残りやすい。デジタルとアナログを組み合わせることで成果を出す企業は多いです」(沢渡さん)

 上司が忙しそうで声が掛けられないときは、アナログな手段のほうが意外と相手の目に留まる可能性があります。また思い切って「相談したいけれど、相談する時間がなくて困っている」と悩みを伝えると、互いに都合のよいタイミングを見いだせるかもしれません。