不満の種を払拭するミーティングとは?

 次に紹介するのは、ミーティングや日常会話など、対面で行うコミュニケーションによる情報共有方法です。中には、ミーティングによって社員の不満を解消したという読者もいました。

週に一度、20分間のミーティングを行っています。社員と派遣のスタッフ、計5名で作業内容や進捗状況を確認し、業務が偏っていたら再度役割分担をします。また有休を取得したいときはその場で相談します。メールだと一方的な連絡になってしまいますが、ミーティングなら会話ができ、グループ内の不満の種を払拭することができました。(31歳、情報通信・IT、企画)

3人チームで席がまとまっているので、とにかくすぐ声に出すことを心掛けています。チームメンバーは発せられた声にすぐ反応するので、複数のプロジェクトを各自で進めていても互いの進行状況を把握でき、不在時のフォローもスムーズに行えます。(45歳、金融、企画)

5人で遂行しているプロジェクトのマネジャーを担当しており、毎週2時間半かけて課題の共有や解決方法の議論を行っています。最初は2時間半も時間を取られることに難色を示していたメンバーも、課題解決や判断が早くなることを実感し、積極的に意見を述べるようになりました。(50歳、製造、研究開発)

自分がどこで何をしているか(するつもりか)、日常会話の中でさりげなく誰かに伝えるようにしています。トラブル時に帰社できなくても、遠方にいることが伝わっていれば余計な誤解が生まれません。さらに仕事の進捗状況も大まかに把握してもらえるので、業務の効率化につながっています。(34歳、金融、一般事務)

 対面でのコミュニケーションは録画や録音をしない限り証拠として残らないという難点がありますが、沢渡さんによると、記録に残りにくいからこそ自分の正直な気持ちを伝えられるというメリットもあるようです。

【業務改善士・沢渡あまねさんの評価ポイント】

 「あるIT企業は社内SNSを導入しましたが、なかなか書き込まれず、SNS上での活発なやり取りは生まれませんでした。しかしSNSを見た社員が『書き込む勇気はないけれど、実は自分も同じ問題意識を持っていた』と話すようになり、SNSをきっかけに社員同士の会話が活発になったそうです。デジタルツールを導入した後は、コメント数や既読者数などの数値的な結果だけではなく、コミュニケーションの変化にも目を向け、それぞれの組織に合ったスタイルを見つけられるように工夫するといいのではないかと思います」(沢渡さん)