新しい形態の会議やコミュニケーションツールを次々に導入するものの、なかなか成果に結び付かない。さまざまなツールが開発されている一方で、そんな悩みを抱えている企業も多数存在します。そこで今回は、LINEやFacebookグループなど、さまざまなデジタルツールを駆使した共有術で商品企画数が2倍になったという「あしたるんるんラボ」を取材。同社では、エッセンシャルオイルやハーブティーなど、女性向け商品の企画開発と販売を行っています。さまざまなプロジェクトが同時進行する社内で、どのように「報告・連絡・共有」を行っているのでしょうか? 事業部長の木内さん、広報担当の村田さん、デザイナーの瓜生さん(インターンシップ生)の3名に、コミュニケーションを円滑に行うコツを聞きました。

【日経ウーマンオンライン×日経DUAL 共同企画】
(1)情報共有できてる? 社内の問題を解決する連絡方法
(2)「報告・相談・共有」がうまく回るポイント7つ(日経DUAL有料会員限定)
(3)LINE、FB駆使で企画数が2倍になった共有術を公開【今回はここ】
(4)ワーママ管理職が実践! チーム&後輩が育つ共有術(日経DUAL有料会員限定)
(5)週3回の共有をルーティンにして課題を「見える化」

あしたるんるんラボで広報を担当する村田さん(左)、事業部長を務める木内さん(中央)、インターン生の瓜生さん(右)
あしたるんるんラボで広報を担当する村田さん(左)、事業部長を務める木内さん(中央)、インターン生の瓜生さん(右)

目的ごとにデジタルツールを使い分け、「ヌケ・モレ」防止

 皆さんは日常業務でどのようなコミュニケーションツールを使っていますか? すぐに書き込めるメモ帳やオフィスの掲示板、自宅や外出先でも確認できるメールやLINEなど、さまざまな企業で多種多様なツールが使用されています。

 しかし、自社に合う最適なコミュニケーション方法を見いだせず、ツールを使いこなせていない企業が存在するのも事実。「ツールの数が多過ぎてどれを使えばいいか分からない」「ツールを導入したものの使い方が難しくて浸透しなかった」など、ツールに関する悩みは絶えません。

 女性ホルモンに着目した商品を開発している「あしたるんるんラボ」も、かつては社員同士のコミュニケーションに悩む企業の一つでした。複数の商品を同時進行で開発しているため、時系列で表示されるメールで連絡や相談、情報共有をしていると、各商品の情報が混在してしまったり、探している情報がすぐに見つからなかったり。いいアイデアを思い付いて共有しても、情報の山に埋もれてしまっていました。

 そこで導入したのが、プライベートでも頻繁に利用しているデジタルツールです。主に使用しているのは、LINE、Facebookグループ、DropBoxの3つ。それぞれの特性を生かして使い分けることで、「ヌケ・モレ」が減り、スムーズな情報共有に成功したそうです。デジタルツールを使った独自のコミュニケーション方法とは、どのようなものなのでしょうか?

即時性のある「LINE」 緊急時や画面キャプチャの共有に◎

 プライベートの連絡でも頻繁に活用されているLINE。社内外問わずスマートフォン上ですぐに情報を確認できることから、緊急時の連絡や、即時性のある画像を送信する際に使用しているそうです。

 例えば取引先との打ち合わせで外出の多い木内さんは、自社で配信するライブ動画をリアルタイムで見ることができません。忙しい業務の合間を縫ってすべてのライブ動画を見返すのも困難。そのため視聴者が投稿した質問やコメント、ライブ動画による商品の売れ行きを広報担当の村田さんがまとめ、LINEグループで共有しているそうです。

後でまとめて確認できるようにLINEのアルバムにキャプチャ画像を保存
後でまとめて確認できるようにLINEのアルバムにキャプチャ画像を保存
動画はリアルタイムでトークルームに送る
動画はリアルタイムでトークルームに送る

 「スマートフォンなら画面キャプチャの撮影が手軽にできるため、視聴者のコメントを撮ってすぐに送れます。また画面収録をしてLINEグループにアップすれば、各回の動画の雰囲気を伝えることもできます」(村田さん)

 また、LINEで共有した情報の中で後日見返す可能性のあるものは、Googleドライブに保存しているそう。画面キャプチャはLINEのアルバム機能を使い、日程順にまとめてアップ。その後広報活動などで使用する可能性のある画像は厳選して種類別に振り分け、Googleフォトに上げているそうです。重要な情報だけをピックアップしてまとめておけば、数値的なデータが必要になった際に確認しやすく、LINE上で探す手間が省けます。

 「配信終了と同時に村田さんが販売数やコメント数、アクセス数などをまとめ、Googleドライブにアップしています。LINEとGoogleドライブを使い分けることで、外出先でデータが必要になった際にもすぐに確認して取引先に提示することができます」(木内さん)

「ライブ配信した様子はスマホの画面キャプチャをLINEで共有しています」(村田さん)
「ライブ配信した様子はスマホの画面キャプチャをLINEで共有しています」(村田さん)

 なお、チームで共有した後、「メッセージやスタンプを必ず送信しなければならない」など明確なルールは設けられていません。またLINEのグループも二つに絞り、共有の必要性がない情報は個人間のLINEのやり取りで済ませているそうです。

 LINEの特徴は、使い慣れている人が多いため導入しやすく、また日時や場所を問わず即時的に確認できるツールであること。デジタルツールがどれほど便利でも無理に新しいツールを導入して使いこなそうとするのではなく、既存のツールを活用し、必要な機能のみを生かして社員の負荷を減らすことが習慣化のポイントです。

<次ページからの内容>
●企画書を廃止! 会議の時短をかなえたFBグループの活用法
●「あのメールどこだっけ…」がなくなる 社内メールの見直し術
●部下の進捗が自然と把握できる「メール日報」が効く!
「DropBox」で一括管理 「データ迷子」がゼロに
●対面での「月初ミーティング」で後輩の悩みを解決
●コミュニケーション改革 カギは「トライ&エラー」