簡単さとおいしさを「実感」してもらって発売へ

 忙しい女性のために、こだわり抜いて作られた「リード プチ圧力調理バッグ」。5年もの歳月をかけて発売に至ったそうですが、最も大変だったのは、「この商品のよさを実感してもらい、社内で提案を通すこと」だったんだそう。

 「レンジでチンするという点が、お総菜や冷凍・レトルト食品、作り置き料理と同じなんです。それらとの『違い』を理解してもらうのに、すごく時間がかかりました。

 例えば、『自分が手を加えて作ったおいしい料理が、短い時間で簡単にできます』『家族に出来立てを食べさせてあげられます』と言葉で説明しても、同じ立場で、同じ気持ちを抱えたことのある人でなければ、やはり『実感』としては伝わりづらいという問題がありました」

「共働きの場合なら、忙しいときにはパパが料理をしたり、週末に『プチ圧力調理バッグ』を使って『おかず貯金』をしておくこともできますね」 写真/稲垣純也
「共働きの場合なら、忙しいときにはパパが料理をしたり、週末に『プチ圧力調理バッグ』を使って『おかず貯金』をしておくこともできますね」 写真/稲垣純也

 確かに、「おいしさ」や「家族への思い」という気持ちの部分は、数値で可視化できるものではありません。伝えることが難しい感覚的な部分を、渋谷さんはどうやって伝えていったのでしょうか。

 「あらゆる会議やプレゼンの場で、商品を使った実演をして、出来立ての『肉じゃが』や『ぶりのしょうが煮』などを食べてもらいました。ふっくらと仕上がった魚や、味がしっかりと染み込んだ野菜や肉を食べてもらうことで、出来立てのおいしさを『実感』してもらうことが大切だと思ったからです」

 まさに、論より証拠。おいしさを「体験」してもらうことで、商品のよさを社内外に広め、発売にこぎ着けたといいます。

 「普段は料理をしない営業の男性陣でも、簡単に実演できたことで、『この商品は料理初心者の男性でも使える』ということも証明できました。ですから女性だけでなく、男性が料理をするきっかけにもなればいいなと思っています」