「洗顔」も一緒にしていいの? 逆風でも5人は団結

 何度も試作を重ね、自分たちでも試し、改良を重ねていったという「サボリーノ 目ざまシート」。開発期間中、集まった5人の間で意見が食い違うことはなく、フィーリングはぴったりだったといいます。

 「部署は違うものの、センスや感覚、普段から抱いている悩みが一緒だったので、『自分たちが欲しいもの』に対する意見も共通でした。だから、進むときは5人全員が同じ方向を向いて進めていましたね」(御殿谷さん)

 しかし、発売するまでの間には、ある「逆風」もあったといいます。

「朝使うマスクなので、『肌の朝ご飯』をイメージしてフルーツをモチーフにしたパッケージにしています」(齊藤さん)。かわいいパッケージなら、時短でもちゃんとケアしている意識を持てますよね 写真/小野さやか
「朝使うマスクなので、『肌の朝ご飯』をイメージしてフルーツをモチーフにしたパッケージにしています」(齊藤さん)。かわいいパッケージなら、時短でもちゃんとケアしている意識を持てますよね 写真/小野さやか

 「『洗顔』も一緒にするという点について、社内から不安視する声が上がりました。スキンケアと保湿下地までは想像できても、『洗顔』まで一緒にするという商品は、それまで世間にはなかったからです。当時、『さすがに洗顔は別にしたほうがいいんじゃない?』という意見は多かったですね」(齊藤さん)

 こうした不安を耳にしながらも、5人は「絶対に大丈夫」という姿勢を貫いたそうです。

 「まだ世の中にない商品を送り出すとき、その結果を予測することができないため、不安や心配になるのは当然だと思います。でも、この商品から『洗顔』という要素を外してしまうと、出発点となった『朝の面倒臭さを解消する』というコンセプトからズレてしまいます。そうなると、この商品を作る意味がなくなってしまうので、そこは5人で力を合わせて、それぞれの部署の理解を得られるよう説明し続けました」(齊藤さん)

 そしてコンセプトを貫いた結果、北村社長のGOサインを獲得。「女子開発ラボ」の発足から約1年半後の2015年4月に、第一弾が発売されました。

「サボった時間で何をする?」 コンセプトに共感し入社

 当時、数量限定で発売された「サボリーノ 目ざまシート」は、店頭に並ぶとすぐに完売。3カ月もたたないうちに追加生産となり、その追加分もすぐに売り切れたといいます。

 「洗顔ができるという点はもちろん、それまでは『夜』使うという認識だったマスクを、『朝』に持ってくるという点も、新しいと思っていただけたようです。市場での売れ行きが話題となり、メディアでも取り上げていただき、本当に反響が大きかったですね」(御殿谷さん)

「店頭で、自分の手掛けたディスプレーを見ている方がいるとうれしくなります」(三原さん)写真/小野さやか
「店頭で、自分の手掛けたディスプレーを見ている方がいるとうれしくなります」(三原さん)写真/小野さやか

 現在「サボリーノ」の販売推進を担当する三原さんも、実は市場での人気を消費者として肌で感じてきた一人。転職活動をしている時に、「サボリーノを作っている会社なんだ」と思い、採用面接に挑戦したそうです。

 「広告に、『サボった時間で何をする?』というコピーが書かれていて、その言葉がすごく印象的だったんです。ただ単に時間を短縮するんじゃなくて、『時短をすることによって、よりよい生活を提供しようとしてくれているんだ』ということが分かり、そこに魅力を感じました」(三原さん)

 そして縁あって、入社後は「女子開発ラボ」のメンバーに。商品を店頭で大規模に展開できるよう、ブランドイメージに沿ったフレッシュでかわいい什器を作るなどして、「サボリーノ」を支える一員として活躍中です。

 「友人が使ってくれていることも多く、そうした話を聞くと、とてもうれしいですね。SNSで話題になっていたり、愛用してくださっている方を目にしたりすると、『明日からの仕事もさらに頑張ろう!』と思えます」(三原さん)

 「私たち自身も驚いているのですが、サボリーノが評判になり成長していくにつれ、メンバーにも幸せが巡ってくるようになりました。ブランドを立ち上げた初期メンバーに関しては、5人全員に結婚や出産などのハッピーな出来事が起こり、現メンバーも、楽しく前向きに仕事に取り組んでくれています。『女子開発ラボ』の一員になることで、部署の垣根を越えて、主体的・能動的に動く姿勢が身に付くので、仕事もプライベートもいい循環になっていくのかもしれません」(御殿谷さん)