依頼者もタスカジさんも、両者が幸せになれるサービス
2014年にサービスを開始してから約4年。「タスカジ」を利用した女性たちからは、
「このサービスを作ってくれてありがとうございます。もう少しで倒れるところでした」
「寝る時間が増えました!」
「今まで昇進を断ってきたけど、今なら管理職として働けそうです」
といった、たくさんの感謝のコメントが届いているそうです。
「私自身も、料理や掃除をタスカジさんにお願いしている、利用者の一人です。『困ったときに家事を任せられる人がいる』と思うと、それだけで安心できます」
タスカジさんは、経験豊富な家事のプロ。登録しているのは、家事が大好きな主婦の方や、栄養士、調理師、整理収納アドバイザーなど、自分の得意な家事を仕事にしている人ばかりです。中にはテレビで紹介されたり、書籍を発売したりしている人などもいて、それぞれのスキルを生かして活躍しています。
「家事は素晴らしいスキルなのに、なぜか単純労働だと誤解されがちです。ですから、利用者にレビューを書いてもらったり、書籍を出版したりすることで、家事ができることは素晴らしい能力なんだということを、より多くの人に知ってもらいたいと思っています。
タスカジさんたちが、この仕事を通して自分の能力に気付いたり、自己実現をしている姿を見ると、私も『本当に誇らしいな』と感じます」
核家族から拡大家族へ、新しい「助け合い文化」の形
現在は関東と関西でサービスを展開していますが、今後は全国にも広げていきたいという和田さん。家事のパートナーと出会うことで、「拡大家族」という新しい家族の形を見つけてほしいという願いもあるそうです。
「核家族化が進み、共働き夫婦が増え、地域社会との交流も薄れていくと、子どもは家族以外の価値観に触れる機会が少なくなっていきます。
保育園に入って家族以外の人と触れ合うと、子どもが大きく成長していくように、家事代行サービスを通じて新しい環境や価値観を取り入れることは、子どもにとっても多様性を受け入れるいい機会になるのではないでしょうか。
タスカジを利用することで、昔の地域社会と似た『助け合いの文化』をインターネット上に復活させ、現代にマッチした『助け合い社会』を再編していく。そして核家族を超えて『拡大家族』へと、新しい家族の形に発展していく――。私たちは、そんなビジョンを持って進んでいます。
ですから今後は、共働きの家庭はもちろん、シニアの方の家事もサポートするなど、より多くの社会の課題を解決できるサービスを作っていきたいと思っています」
文/青野 梢 写真/清水千恵子