リーダータイプには「頼りにしている」と強調して

 「このタイプは、『任された』と思うとやる気になります。お願いするときは、頼りにしていることを強調して『よろしくね』とお願いします」(三谷さん)

 また、リーダータイプは人から指示されるのを好まないので、「提案」するかたちで依頼するのもいいそうです。

プロデューサータイプには繰り返し根気強く頼む

 プロデューサータイプはノリが良くて楽しい人ですが、他人の話を聞かない面もあるようです。

 「このタイプは、何かを頼むと『いいよ』と請け合ってくれますが、そのまま忘れてしまう可能性も高いでしょう。あまり責めずに、繰り返しお願いしてみましょう」。その際は、「私はできないからお願い!」「頼りにしているよ」などの言葉で念を押して。

シンクタンクタイプには「理由」を論理的に伝える

 理屈が好きで論理的な考え方をするシンクタンクタイプ。「このタイプには『○○という理由があるので、やってほしい』という言い方をすると、成功率が高いでしょう」。例えば「明日、私は早く出勤しないといけないので、○○をやっておいてくれる?」など、理由を明確に示します。

 「この家具、私が運ぶのは大変なんだけど」と言うよりは、「この家具は私には持ち上げられないから運んでくれる?」のように、客観的な表現のほうが効果的といえるようです。

ヘルパータイプには感謝の言葉をたっぷりと

 もともと人のために何かをするのが好きなヘルパータイプ。何かをお願いしても聞き入れてくれやすいのですが、感謝が足りないと不満を持ちやすいタイプです。

 「何かをお願いした後には、さらっと流さずに、必ず『助かった! ありがとう』とお礼を忘れないようにしましょう」

 これら4つのうちどの方法がうまくいくか、三谷さんのおすすめは「いろいろな球を投げてみて、うまくいったやり方を次から実践すること」です。

 家事を誰かとシェアするには、やってもらうことを決め、その手順を学習してもらう必要があります。「その入り口となるのはコミュニケーション。その上に学習がありますから、まず相手に入りやすい言葉でコミュニケーションすることが大事です」

 これを「大変だ」と考えるのではなく、「『今回はどのお願いの仕方でやってみようか』とゲーム感覚で試してみたり、あるいは自分が女優になったつもりで試してみてはどうでしょう。これができてくると、仕事でも異性とのコミュニケーションがやりやすくなるはずです」(三谷さん)

家事スキル不足の相手とは「一緒にやってみる」

 家事をシェアしようとする際、相手の家事スキルが十分でないことがハードルになることもあります。例えば独身時代にずっと実家暮らしでほとんど家事をしたことがない男性や、中学・高校で家庭科が男女必修になる以前の世代で、基本的な知識をそもそも習っていない男性もいます。「まずは、そこを責めないことが大切です」(三谷さん)

 家事のスキルが不十分な人とは、まず一緒にやってみることを三谷さんは勧めます。例えば洗濯物を干すなら、洗濯が終わったタイミングをうまく見計らって「一緒に干してもらっていい?」と声を掛け、終わったら「一緒にやったら早かったね」と感謝すれば次回へのモチベーションに。食器洗いや掃除も同じです。一緒にやってみることで、女性側も「自分だけがやらされている感」が減るでしょう。

 そして、「シェアの前段階として一緒にやることは大事ですが、一通り伝えたら相手のやり方にはある程度目をつぶることも必要です」(三谷さん)。家事には「これが正解」というものはないからです。排水口やお風呂の掃除など、面倒だなと思うことをやってくれたときは大いに喜んで感謝するといいですね。

 シェアする人が迷わないように、食器や衣類などの収納場所にラベルを貼って分かりやすくするなどの工夫もおすすめです。

文/日経ウーマンオンライン編集部 写真/PIXTA