経験者のワーママたちは、冷静に分析をしています。

■一度してみると、「PTAってどんなものか」が分かるのでいいかなと思いました。平日の負担自体はそこまでではなく、欠席しても嫌味を言われるということはなく、出来る人が助け合おう、との雰囲気はありました。
 ただ、やりとりが煩雑、ムダな作業が多い。1つのお知らせを生徒に配るにも作成担当(私)→班のリーダー→委員長→PTA幹部→副校長というラインをたどらなければならず、修正も1段階ずつ下りてきます。そして、一言一句について細かい“ケチ”が付く。ccに入れていっぺんに、と提案もしましたが、却下されました…。(30代 小2母)

■企業の長時間労働問題とPTA問題は「効率を追求しない」という点で通じるところがあると感じました。企業の長時間労働が問題視されている今、PTA問題も連動して変わっていくことを迫られそうです。
 どちらもベースは、忠誠心や根性や「一緒に場を共にすること」を善とする「部活動文化」で、効率的に勝ちに行くことを目的とした「スポーツ文化」じゃないんですよね。そこに伴う強制参加的な空気とアナログな仕組みには目を見張るものがありました。ただ地域に詳しい主婦の知人ができたことは、やってみて良かったことの一つです。 (40代 小2母)

■PTAも会社組織と同じような構造。私はいわゆるヒラ社員でしたが、上司(委員長、副委員長)が企業の 中で働いたことのある方でマネジメント能力が高く、部下の私たちにおろす情報の取捨選択もすばらしく、アウトプット重視。 クラウドサービスを活用するなど、円滑な運用でとてもやりやすかった。平日昼間の活動に参加できない分、PCが苦手な人の 作業を引き受けることでwin-winな関係もつくれました。
 要は、会社と同じ。ボス次第、組む相手次第で、運もあります。(30代 小2母)

■別の学校の話やPTA会長経験者の男性の話を見聞きすると、もし本気で改革をしたいならば、女性より男性のほうが発言しやすく、敵も少ない気がしました。強いトップダウン、そして継承ノウハウも必須です。しかし、保育園から小学校に上がった途端に、男性濃度が薄まるのはなぜでしょうか。
 ただ、やってよかったと思っています。地域の知り合いが増えて心強く、子どもの友達の輪も広がりました。低学年のうちに経験しておいた方がいい、という先輩ママのアドバイスを聞いて参加していなかったら、PTAはモヤがかかった未知の世界だったと思います。(30代 小2母)

 親としては、「一度やってみる」とやったなりの充実感や見識が手に入る。でも社会人目線から見ると、著しい非合理性が目につく。これはやはり、PTAを含めた教育現場が一般社会から「箱庭化」していることの表れなのでしょう。

ワーママたちが合理的な視点をもたらしていく

 先ほど触れましたが、PTA組織としての問題の根は日本PTA全国協議会という巨大組織にあります。ですから、いま日本の教育行政の上のほうにいる方々がそろそろ権力から”退場”なさるあと5〜10年後になれば、ようやく日本のPTAという機能不全組織に革命が起きるのかもしれません。

 また、ワーママとしてPTAを経験するお母さんたちが、合理的な視点をPTA組織にもたらすことへも、大きな期待が持てます。この世代がかかわっていくPTAは、確実に内側から変化変容していくのでしょうね。

【参考URL】
「小学校やばいPTAやばい」(はてな匿名ダイアリー)
#PTAやめたの私だ 「入会しません」 ひとりの主婦の静かなる抵抗(BuzzFeed)

文/河崎 環 写真/PIXTA

【変更履歴】組織の名称に誤りがありました。本文は修正済みです。(2017年2月7日)