なるほど、夫以外の男性に対しても「女」であり続けるというリスキーなテーマを、しかしそこに不倫などの一線を越える危険を上手に避けながら描く。そのために出してくるのが「元カレにバッタリ」を妄想、という手法!

あれ? 前から歩いてくる男性ってもしかして… (C)PIXTA
あれ? 前から歩いてくる男性ってもしかして… (C)PIXTA

 よくよく考えると、「夫以外の男性に対しても女であり続けるというテーマ」は、別に対象が元カレじゃなくていいわけですよ。韓流スターとかジャニーズとか俳優やミュージシャン、どういう妄想をしてもいいわけなのですが、そういう現実味のない妄想は基本的に「非モテ」のものなのです。これまでもちゃんと生身の男たちにモテてきた、そしてこれからも生身の男たちにモテていきたいSTORYは、そんなファンタジーに現実逃避せず、体温と匂いの記憶のある「かつての男」との妄想を出してくる。オトナだなぁ。

 これが現代日本における(倫理観を刺激しない)コンサバ既婚者恋愛の暫定解なのでしょう。そのブレなさ、さすがです、光文社!

なぜ「人から見て、どう思われるか」の客観的な幸せを追い求めるのか

 「表紙のタイトルだけ見てすごいなぁとは思ってたのですが、あらためて見て絶句」と、ある40代マダムは言います。「コンサバ系女性誌が追い求める幸せって、自分が満足かどうかの主観的なものではなくて、人から幸せそうに見えるかどうかの客観的なものなのが苦手で。人から認められなくちゃ幸せと思えないのはいろいろ苦しかろうと思いますよね」

 さらに、コーナーのサブタイトル「『余裕ある生活』『感度の高さ』『たゆまぬ女磨き』を見て欲しいから」を指差し、「なんかもう元カレに何を求めたいの? 夫に見て欲しいじゃダメなの? そこは夫でいいよ……」。理解できない、と頭を横に振る彼女は、確かに元カレに今さら評価してもらわなくても十分に魅力的で、自分の人生を主体的に生き生きと過ごしている女性です。

 元カレに評価してもらう、のではなく、自分が「元カレを評価する」側になってしまう場合だってあります。