あるアラフォーの才色兼備女性は「私は元カレと恋愛の妄想はしないですねぇ。別れたわけですから、もう過去の人です。元カレ、時々地元で見かけるんですが、だいぶイタいおじさんになっちゃってて」としたうえで、「だから逆に、時々そんな『イタい』元カレの存在に助けられて、今の結婚相手でよかった、って毎日の幸せを実感することはあります」と笑います。

 彼女は、「うわー、アレと結婚しなくてよかった、今の幸せを大事にしよう」と思ったのだそうです。そう考えると、元カレだろうが元カノだろうが、男女お互いに「やっぱり今もいい男/女」と思ったり、逆に「うわー、あんなになっちゃって、幻滅……」と思ったり、そういう感情は心の中に素直に存在しているのですよね。

壁打ちとしての「元カレ」の意義

 おそらく、まさに生身の女であるSTORYあたりの読者にとって、元カレって独特の位置にある男なのでしょう。「私の体を通り過ぎた男」じゃないですが、フって別れたにしても、フラれて別れたにしても、一度は身を焦がして付き合った相手。「私が」一度は選んだ男であり、「私を」一度は選んだ男。

 生身の男にモテる「勝ち組」の女たちが読むSTORYは、そういう特別な存在である元カレという基準値を使って、テニスで言う「壁打ち」をせよ、と説いているのです。

 冒頭の離婚した彼女に戻りましょう。

 離婚後、元カレに抱かれたことで「まだいける、需要がある」と実感した彼女は、その後肉食となって「世の中にはこんなに自分への需要があるんだ!」と驚いたそうです。いやー、壁打ちって大事だな。やっぱりそこで自信や経験を身に付けるってことですよね(意味が違う?)。

元カレを使った壁打ち作戦で、いつまでもいい女? (C)PIXTA
元カレを使った壁打ち作戦で、いつまでもいい女? (C)PIXTA

 というわけで、元カレという過去の存在をカンフル剤として上手に使えば、私たちは日々を幸せに過ごすことができる……のかもしれません。そろそろカンフル剤が必要かも、と思い始めたあなた、元カレとバッタリ出会う妄想をするなり、実際に会ってみるなりして、自分の女磨きを見せつけたり、「ヤダやっぱりいい男~」と身もだえしたり、あるいは「えっ、こんなオジさんに? 今のダンナ/彼で良かった(ハート)」と幸せを再確認したりしてみては。

 ……ふと思いましたが、女って、自分をアゲたり磨いたりするためなら手段を問わない、業の深い生き物なんですねえ(笑)。

文/河崎 環 写真/PIXTA