「こんな恐ろしいドラマがあるだろうか」

 「こんな恐ろしいドラマがあるだろうか……」。

 竹内まりやさんの「もう一度」が流れるエンドロールを見つめながら、私は恐怖に震えていました。

 「定年女子」――それがドラマのタイトルです。

■「定年女子」(全8回)
日曜 午後10:00~午後10:50
【BSプレミアム】
(公式サイトは記事末参照)

南果歩演じる深山麻子(53)は、専務から「役職定年」を告げられて… 写真/NHK提供

 これまで、さまざまな「◯◯女子」「◯◯ガール」のネーミングが世間でもういいよってくらい量産されてきましたが、こんなにインパクトのある「女子」は初めて。そう、女性活躍推進だの輝けだのと、私たちが念頭に置いてきた働き女子とは、アラサー、アラフォー、もう少しお姉さんでもアラフィフくらい。ところがアラカンの先は、そういえば「定年」です。「女子だって、働き続けていれば当然定年を迎える」冷静な事実を目の前に突き付けられた気分でした。

53歳で部長からヒラ社員へ……役職定年って何それ怖い

 ドラマ第1回では、南果歩さん演じる深山(みやま)麻子(53)が、専務から「役職定年」を告げられます。長年勤めてきた角倉商事が合併するのに伴い、CSR部長としてのポストを「若手の人材にチャンスを与えるために返上」し、ヒラ社員として他部署へ異動してほしいというのが、その内容。

 役職定年とは、一般に60歳と規定されている定年の前、55歳ごろで役職から外れるという制度で、厚生労働省中央労働委員会が公開している「退職金、年金及び定年制事情調査」平成21年(2009年)によれば、調査に回答した資本金5億円以上かつ従業員数1000人以上の大企業218社のうち、ほぼ半分の47.7%の企業が役職定年制度を設けています。

 役職から外れた後は、専門的なポストへの異動や子会社への出向が多いよう。やはり一度は役職に就いた人材のメンツを傷つけないため、その後のポストには配慮がされているものの、内実は閑職であることがしばしばあります。役職手当がなくなって収入が下がることがほとんどでもあるため、いよいよ老後へのカウントダウンが始まるとの感も……。