まき直す勇気は、まずミーハー精神から
でも、そういうのは能力や気力や体力やさまざまな条件に恵まれた人の話であって、「わたし」の話ではない――と、どこかではっきりと線を引いている人も多いかもしれません。私も、「そんな時間ないし。お金だってかかるし。挑戦してみたところで、不向きだったり失敗したりしたら損でしょ?」なんて、特に走るとか筋トレとかを「やらない言い訳」ならたくさん並べられる、怠惰な人間なんです。
ところが最近、周りの40代女性に新しいことを始める人が増えてきました。それまでは専業主婦だった女性が、ピラティス認定講師の資格を取ってスタジオトレーナーとして就職したり、ソムリエ資格に挑戦したり、大学院へ通い始めたり、バリキャリ女性が外資に転職して「いやだいやだ」と文句を言いながらも英語レッスンに通ってめきめき上達したり。彼女たちは生活スタイルをぐっと変えて、キラキラとしています。
「そうか、生き方を劇的に『リセット』しようだなんて思わなくてもいいのだな」と思います。そして、美しい話、立派な話じゃなくて、全然かまわない。ちょっと興味がある、だからまず小さいことを始めてみる。それを積み重ねると、他の人から見たときにあっと驚くような大きな変化になっているのかもしれません。
要は、新しいものを怖がらないこと。新しいもの好き、さらに言うならミーハーでいいのだと。ミーハーであれば、ミーハー故に、一番始めのハードルもひょいと飛び越えて飛びつけるのですよね。「中身が伴っていない」なんてイヤミを言われたって、形から入っていいし、動機は不純なら不純なほど、逆にやる気も出るというものです。例えば、好きな芸能人と同じ趣味だから、とか。(そうですねぇ、私も高橋一生くんがめっちゃ筋トレしてる、とかだったら、同じジムに通いた~いなんて、超・不純な動機で始めたりするかも!)
じゃあ、輝く40代のために30代で準備することって?
このコラムを読んでくださる20代後半から30代の皆さんはきっと、超働き盛り、学び盛り、恋愛盛り、ライフイベント盛り、悩み盛り。この先どうやったって何か新しいことを始めるなんて無理……と、今のことに目一杯で、40代や50代の自分を「まき直す」とか「リセット」なんて想像もつかないかもしれません。
そういえば先日、同級生の40代バリキャリが「部下の27歳女子が『私はまともな結婚はできないと思ってるんです……』って悩んでてさ! 27だよ! 『なに27で人生決めちゃってんの!?』ってびっくりして叫んじゃったわ」とぼやいていました。彼女は20代で結婚したものの、30代でバツイチ再婚して一児の母となり、転職のたびにキャリアアップしてきた自由人です。彼女の人生は30~40代でこそ、劇的に変化したのです。
私はこう答えました。「でもさ、私たちも30を目の前にしていた頃、どこか『もう終わりだ、これ以上自分は成長しないし、変わることはできなくて、あとは惰性で生きるに違いない』って信じ切っていたよね」。
それはなぜなのか、学校を出て就職して、もしかしたら結婚して子どもを産んで、それが「人生の終着点」だって思い込んでいたからじゃないでしょうか。その後のほうにこそ、それ以前よりも長い人生が待っていることを、私だって頭では分かっていても想像なんかできやしませんでした。
人生100年時代といわれるこれからを生きるには、30がこの世の最果て(そしてあとは惰性)だと思っていたらもうその先は走れなくなってしまう。今見えている地平線の先にこそ、フランス女性の言う「ワタシ史上最も輝く季節」が待っているのですから。
ですから、アラサー現在の悩みは、こんなふうに変換して考えるといいのかもしれません。
■「仕事以外の好きなことが欲しい、探している」
→ いいじゃん、いいじゃん。余裕出てきてるって証拠じゃん
■「この仕事を続けていいか迷っている」
→ 迷えるのは選択肢がある証拠だから! むしろ期間限定の特権 大いに悩むべし
■「なんていうか……すべてが悩みなんです」
→ 1年後は今と違う悩みになっているはず。バージョンアップできないわけない!
■「もう結婚できないんじゃないかと思ってる」
→ 人生何が起きるか分からないから、決めつけないほうがいい。生きていれば必ず何かがやってくる
■「正直、自分はキラキラなんかできないと思っている」
→ あなたの人生はあなた独特のもので、あなたが主役。これまでのことを小説風に書いたら、意外なほどめちゃくちゃドラマチックになるはず
「40代でワタシ史上最も輝く」ために必要なのは「知性」と「体」のバランス。40代でV字回復を決めるには、まずは20代や30代で「自分はここまでしかできない」と決め込んでしまわず、年を取ることを怖がらない、オープンな感性の準備が必要なのかもしれません。