一方、女性部下のモチベーションを上げるためには、本人の「得意分野」を伸ばすことがカギとなるそう。「チームの中での役割・期待を明確に伝えることが効果的です。上司が『見ているよ』とメッセージを送ることも重要です」

 また入社4~6年目ぐらいに多い残業・休日出勤もいとわない「仕事全力型」社員への目配りもポイントだとか。「周囲の社員が育休などで不在のときに、この社員たちに不満が溜まると組織全体のモチベーションの低下につながってしまいます。評価を伝えるとともに不満に感じている課題について、『どうしたらいいと思う?』などと一緒に解決策を考えることも有効です」

「時には男性の働き方を参考にすることも必要」

 一方、働く女性たちに対しては「男性の働き方を良く観察して、良いところも悪いところも参考にしてみてください」と東さんは語ります。

 「男性の仕事に対するゲーム感覚を見習ってみてほしいのです。真面目に背負い込みすぎず『たかだか仕事』という意識を持つことも、時には大事なこと。人間関係の悩みから一歩引いたり、自分の『手柄』をしっかり主張したりすることも、自分を追い詰めないために知っておいてほしいポイントです」

 そして同時に、男性と同じ働き方を目指さないことも必要だといいます。「何時間でも働く昭和な働き方を変えていく意識は持ってほしい。それには、子育てなどの事情がなくて可能でも『土日も働けます!』と手を挙げることはやめてみる。終わりの時間を決めてパフォーマンスを上げることが『自分らしい働き方』を実現する第一歩となります」

 そして長く働き続けるためには、「自分の居場所を作ること」にも目を向けてほしいと東さんはアドバイスします。「それには、『一目置かれること』を意識してみてください。何でもいいからスペシャリティを持つ。自分の差別化できるポイントを見極めて、周囲にアピールしていきましょう」

 また仕事を数字で語れることも武器になるのだとか。「成果をどう上げて、どう分析していくかを考えるときに、数字に強い社員は重宝されます。例えば、ディズニーランドに行ったときに『今日の入場者数は○万人ぐらいかな、入場料はいくらで、お土産は一人あたりこのぐらい買うだろうから……1日でこんなに儲かるんだ』と計算してみる。そういった数字のトレーニングを積み重ねて感覚を磨けば、さまざまな仕事のシーンで役に立つはず」

 最後に、参加者に「マイペースであれ」とメッセージを送ってくださった東さん。「周囲のさまざまな意見や過去の前例などにいったん目をつむって、自分自身の声に耳を傾けながら、最適な働き方をぜひ模索してみてください」と講演を締めくくりました。

満席の会場では熱心にメモを取りながら聞き入る参加者の姿が見られました
満席の会場では熱心にメモを取りながら聞き入る参加者の姿が見られました

文/梶塚美帆 写真/柴田進