新たな一歩を踏み出すアラフォー先輩を見て、我に返る

――先輩Aさん(39歳)との再会は3年ぶりだった。約束の店に現れたAさんは以前とはだいぶ印象が変わり、驚いたと優子さん。

優子さん もともときれいな人でしたが、よりあか抜けたというか、スッキリしていて。肌ツヤも良さそうで、いい年の重ね方をしているんだなと感じました。

 「姉さん、ますます調子よさそうですね!」とツッコむと、「そ~お? 最近、断捨離したからかなぁ」と教えてくれました。「結構元カレのモノがまだ残ってて、引っ越しの時にキレイさっぱり捨てたのよ。心機一転、頑張ろうと思って!」と打ち明けてくれたんです。

 久々の楽しい宴が終わった帰り道、いろいろな思いが込み上げてきました。

 Aさんは長らく同居していた彼と1年前に別れ、今もパートナーはいない様子。きっと40歳を目前に、結婚のことやこの先の人生のこと、いっぱい悩んで決断したんでしょうね。自分の足で新しい一歩を踏み出そうとしている先輩の姿が私にはまぶしく見えて、純粋にカッコいいと思い、ふと我に返りました。私は、いつも何かに頼ってばかりで、同じところを何年もぐるぐるしている……。

――Aさんとの再会以来、気持ちに変化が表れた優子さん。「自分もスッキリさせたい、断捨離したい」という気持ちがムクムク湧いてきて……。

優子さん 本棚にある大量の自己啓発本、ホコリかぶったパワーストーンや運気を上げるグッズたち。「これってもう必要なくない?」と思えてきて、すべて引っ張り出して処分しました。いかにも念が込められていそうで家庭ゴミとして出すには気が引けるモノはお寺で供養を依頼しました。

 ここ2年で買い集めたものは総額30万円ほどになっていて、がくぜんとしました。自分じゃ現状を変えられないと思っていたし、どこかで自分の力で変えるのは面倒だから、手っ取り早くグッズで解決しようとしていたんですね。

 一つ一つモノを捨てるたびに、「高いお金を出して買ったのにゴミにしてしまったなぁ」とか、「使い切れずに中途半端にしちゃったなぁ」とか、自責の念が出てきて、胸がキュッと痛くなりました。「モノに頼るのはよくない。自分の力を信じなきゃ!」と、心を新たにしました。

断捨離作戦、グッズの次は彼との関係も

――部屋にたまったモノをスッキリ手放したことで、恋愛にも変化が。中途半端だった彼との関係を考え直すようになった。

優子さん 「先が見えない彼との付き合いは本当に自分を幸せにするのか?」と思い始め、結局、関係を終わりにすることにしたんです。「別れたい」と思い切って告げると、彼は動揺するわけでもなく、あっさり承諾。少しショックでした。

――生活スタイルにも変化が訪れる。占いやスピリチュアル関連のサイトの閲覧をやめ、その分ゆっくりお風呂につかって、午前0時前には就寝。すると、平日夜にジムに行けるほどの体力もつき、自然とお酒を飲む回数も減っていった。

優子さん 当たり前ですが、体調が格段によくなって(笑)。気持ちも上向きになりました。

 正社員として転職しましたが、まだ以前の編集の仕事に未練がありました。「やりたいことがやれていない」という鬱屈を抱えていましたが、見方を変えて「今の職場でもやりたいことができるのでは?」と、ふと思って。もっと制作寄りの仕事ができるように、「自分でプロジェクトを企画してしまおう!」とあれこれ画策中です。

 恋愛のほうも進展がありました。知人がオーナーをしているビストロに、気になる常連男性がいるんです。二つ年上の会社員の男性ですが、意気投合して「今度ごはんに行こう!」ということになって。もしかして新たな恋が始まるかもと、ちょっとウキウキしている自分がいます。

男性と意気投合! もしかしたら新たな恋が始まるかも? (C)PIXTA
男性と意気投合! もしかしたら新たな恋が始まるかも? (C)PIXTA

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 さて次回は、本当は家事が嫌いなのに夫や子どものために頑張り続けてしまった紗絵さんのストーリーをお届けします。お楽しみに!

文/伯耆原良子 イラスト/PIXTA