家にいるより、仕事がしたい! とうとう夫と大ゲンカ

――結婚して4年。もともと家にいるより仕事が大好きな紗絵さんは、二人目の子どもの出産を機に、昔から親交の深かった仲間二人と起業したいと考えるようになった。仲間と新しい事業の計画を立てる時間が何より楽しく、子どもを連れてたびたび打ち合わせに。家を空けることも多くなった。

紗絵さん 子育て中のママも活躍できる場をつくりたいと、仲間とこれからのことを話していると、ワクワクが止まらなくて、どんどん外に意識が向いていきました。外に出るとずっと機嫌がいいという私の様子を見て、夫も私が働くことについては賛成していましたが、いざ起業となると「ホントにできるの?」と疑心暗鬼。外出の機会が増えて、家のことがますますおざなりになってきたせいか、夫の小さな不満が積み重なっていったようです。

――ある日、夫の怒りが爆発し、結婚以来、初めての大ゲンカに。お互いたまっていた感情が噴き出し、暴言が飛び交うほどの言い合いになってしまった。耐えられなくなった紗絵さんは思わず家を飛び出してしまったという。

 泣きながら、夜の街をうろうろ歩いていました。なんでこんなことになってしまったのか、一人で冷静になって考えてみると、夫婦の間にある問題が浮き彫りになってきました。

 それは、お互いの間にある見えない壁――。それぞれが自分の本当の思いや姿をさらけ出していない、という事実でした。

 私自身の本音を言えば……。

 「本当は家事が嫌い。家にいるよりも、外に出ていたい。起業して、社会に役立つようなビジネスがしてみたい。でも、女性なのに、妻なのに、母親なのに、家事が嫌いとか、家にいたくないとか、口に出していいものだろうか? 仕事も家事も子育ても、なんでも器用にこなせるのが、今ドキのかっこいい女性なんだろうけど、私には無理」

 そんな心の奥底に抱えた思いも、夫に言えていなくて、それこそ変にかっこつけていたんでしょうね。ちゃんと正直に伝えようと決めて、夫に洗いざらい本音をぶちまけました。

 「紗絵が、家事が苦手なことは分かっていたけど、そんなに嫌だったとは知らなかったよ」と驚かれましたが、「任せっきりにしてごめん。ちゃんと家事を分担しよう」と言ってくれて、無事に仲直りができました。夫は夫で、私が何を考えているのか分からない上にどんどん外に行ってしまうものだから、不安になっていたようです。夫の寂しがり屋な一面も見せてくれて、夫婦の間の微妙な壁が取っ払われました。