目標は掲げない。流行にも飛び付かない

――最も太る原因になっていた「間食」も、この「自分に聞く」方法を続けることで減っていった。

みゆきさん 今まではランチタイムや会社帰りに、コンビニでついついスイーツに手を伸ばしていたんですが、それからは買う前に「これ、本当に食べたい?」と問いかけるように。「あ、やっぱり食べなくてもいいかな」と思ったら、棚に戻して、その代わり好きな炭酸水(無糖のもの)を買うようにしました。炭酸水を飲むといつの間にかおなかも膨らんで、空腹感が紛れるんです。それで圧倒的にスイーツを食べる回数が減りましたね。

 もちろん、それでも食べたいときは、罪悪感なくスイーツを楽しんで、その後の夕飯や翌朝の朝食を減らすようにしました。

 それから私、運動嫌いなのにジムの会員になっていたんです。利用は月1~2回の「幽霊会員」状態になっていたので、それもやめてなるべく「歩く」ことにしました。

 ただ、自分の性格から「毎日ウオーキングをやろう!」とすると、義務感で嫌になってくるので、気が向いたら最寄り駅の一つ手前の駅で降りてみたり、風景写真を撮りに散歩に出たり。休みの日に好きなカフェ巡りのついでに歩くようにしたら、平均して1万5千歩ぐらいは歩くようになったんです。

――目標を掲げず、好きな趣味の中で歩くことを心掛けたら、自然と体力もつき、行動範囲も広がった。

みゆきさん 週末に友達とハイキングに行くという、今までにない健康的な休日も楽しめるようになりました。登山まではさすがにキツイのでやりませんが、体を動かすことが苦ではなくなってきたのが大きな変化です。

 やっぱり、自分にストレスがかかるような食事制限やダイエット法って続かないものですね。特に私はズボラな性格で、毎日コツコツ修行のように続けることが苦手なタイプ。だからこそ、その時々の自分の気持ちや体調と相談しながら、楽しく取り組める方法を見つけるしかないなって。

ストレスがかかるダイエットをやめたら、少しずつ体重が減ってきました イラスト/PIXTA
ストレスがかかるダイエットをやめたら、少しずつ体重が減ってきました イラスト/PIXTA

 こんな「ゆるい」方法でも少しずつ体重が減りまして、顔周りやウエストも引き締まってきました。ダイエットをやめてから1年で6キロ減少し、2年かけてピーク時よりも11キロ減って、56キロになりました。まったくもってスリムというわけではないのですが、自分の体重を掲げて歩くわけでもないですし、いいかなって(笑)。何より、この状態が一番体調もよく、見た目も「元気そうだね!」と言われるので、このまま維持し続けるのもいいかなと思っています。

 あの強迫観念のようなダイエットのストレスから解放されて、本当に心が楽になりましたね。「好きなものを食べること」を許したことで、逆にドカ食いすることもなくなりました。無理せず、はやりのダイエットに飛び付かず、自分の気持ちや体を思いやることが、理想の体形につながるのだと強く実感しています。

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 さて次回は、自分に合わない「キラキラ起業」をやめて、心穏やかな会社員生活に戻ったという、聡美さんのストーリーをお届けします。お楽しみに!

文/伯耆原良子 イラスト/PIXTA