3.資料を眺める

 それでもまだ、後回しになってしまった仕事に取り掛かれないときは、最初から完璧を目指そうとせず、まずは「資料を眺める」ことから始めると、スムーズに着手できます。仕事を終わらせると考えるよりも、仕事をスタートさせる「とっかかり」をつくるのがポイントです。

 脳には「側坐核(そくざかく)」と呼ばれる報酬中枢、いわゆる「やる気スイッチ」が存在します。この側坐核は、刺激されるとドーパミンを分泌します。ドーパミンは、その経験を欲して、何度も反復するのを促すのです。これが、やる気の源になります。

 脳科学的には「やる気→行動」ではなく、「行動→やる気」が、正しい順序。ひとまず、「資料を眺める」という、ほんの小さな行動が刺激となって、側坐核が動く。そして、やる気が出るのです。 

 後回しにしてしまった仕事になかなか着手できないときは、結果目標ではなく、行動目標に重点を置くようにしましょう。

 結果目標とは、「企画書を完成させる」「新規案件を1件獲得する」など、結果に対する目標です。行動目標とは、「企画書のタイトルを書く」「電話を5件かける」など、あなたが今すぐできる具体的な行動を指します。このように、目標は、結果目標と行動目標に分けることができます。

 「必要書類を、ただ眺めるだけ」であれば、ハードルはぐっと下がります。まずは、仕事を後回ししたくなったときは、10秒でできるくらい簡単な行動目標を決めて、実行してみてください。

***

 いつもの仕事もほんのちょっと工夫するだけで、あなたのペースで進めることができます。あなたが気分よく仕事する時間が増えるヒントになれば幸いです。

文/大平朝子 イラスト/三ツ木朗恵 写真/清水知恵子