ライフイベントにまつわる出費は、大きく「家族」にかかるお金と「キャリア」にかかるお金に分けることができます。
「家族」にかかるお金
まずは「家族」について見ていきましょう。
子どもの教育費に要注意
結婚では、挙式にかかる費用、新居を構える場合の引っ越し費用などが主な出費になります。200万~300万円が相場ですが、「結婚式の場所や規模」「新婚旅行をするかどうか」など、選択によって金額は大きく変わります。
「実現したいイメージをあらかじめ具体化して、目標金額を定めてためていくのが直前になって慌てないコツです」(高山さん)
出産費用は、50万~60万円ほどが目安。健康保険に加入していれば、出産育児一時金として出産一人当たり42万円が支給されるので、それで一部を賄うことができます。しかし、不測の事態が生じやすいことも事実です。
「例えば、無痛分娩を選択すると、施設にもよりますが数十万円の上乗せが発生します。また妊娠・出産前後は、体調も不安定になりがち。仕事をセーブしたり、休んだりせざるを得ない場合もあるので、収入が落ち込むリスクも頭の片隅に置いておいたほうがいいでしょう」(高山さん)
そして、高山さんが「家計のブラックホール」と表現するのが、子どもの教育にかかる費用です。節目は大学進学時というイメージもありますが、近年は中学から私立へ通わせることも多く、30代半ばから教育ローンを組む親が急増しているそう。
「日ごろからFPとして相談を受けていると、教育費を意識すべきタイミングが前倒しになっている印象を持ちます。すると、総額も増える。家計から毎月10万円以上を捻出できないと、私立に通学させるのは難しいですし、塾代もかさみます。少なくとも『私立に入れたいのか、公立でいいのか』くらいは、結婚前から想定しておくのが理想的です」(高山さん)
親の介護に直面することも
20代読者にとっては少し先の話かもしれませんが、住宅購入も気になるイベント。平均購入額は、都内に限定した場合で5000万円、地方も含めると3500万円ほどだといいます。「一生賃貸派」もいますが、その場合は当然、家賃を払い続けなければなりません。
将来的には、親の介護にも直面します。
「介護の平均期間は約7年、かかる費用の総額は300万~500万円といわれます。公的な給付だけでは不足しますから、貯蓄などで自ら備えておくことが大切。親が民間の介護保険に加入しているかどうか、チェックしておくといいでしょう」(高山さん)
「キャリア」にかかるお金
次に、「キャリアにかかるお金」を見ていきましょう。
留学や大学院、いくらかかる?
「人生100年時代」といわれる今、キャリアアップ、スキルアップへの投資も大切です。簿記や語学などの資格取得に加え、海外の大学に留学したり、国内でMBA取得を目指して大学院に行くなど、「学び直し」にチャレンジする人も。
「留学の場合、期間や国によって異なるものの1年で200万円以上は必要です。MBAを取得するなら、国内大学でも300万~500万円はかかるでしょう」(高山さん)
かなり大きな出費ではありますが、条件を満たせば、国から教育訓練給付金の支給を受け、一部に充てられるケースもあります。こうした制度について調べておくことも大切です。
リスクに対応する貯蓄も
また、転職をする場合、勤めていた会社を辞めてから、次の会社へ入社するまでにブランクが発生することも。もともとの貯蓄が少ないと、日々の生活費のやりくりに困る事態にもなりかねません。起業や独立をする場合も含め、チャレンジにはスキルだけでなく「リスクに対応できる貯蓄」も必要です。
「手持ちのお金が少ないと、焦って給与交渉などがおろそかになり、結果的に自分を安く売ることにもつながってしまいます。転職などに臨む際には、最低でも生活費3~6カ月分の貯蓄を確保しておくことができれば安心です」(高山さん)