見落としがちな臨時出費に要注意!

 お金が必要なのは、大きなライフイベントだけではありません。事前の想定が難しい出費も、「あるかもしれない」という心構えを持っておくだけで、現実的なプランを立てやすくなります。

 例えば、病気やケガをしてしまったときの治療費、「ご祝儀」など親戚や知人の冠婚葬祭で必要になるお金などがそれに当たります。また、予測不可能とまでは言えないけれど見落としがちなのが、賃貸住宅に住んでいる場合の更新料、居住地と実家が離れている場合の帰省費用などです。

 数万円単位でも、積もり積もれば家計には打撃。こうした「臨時イベント」にどれくらい出費しているのか、1年に一度、振り返ってみるのがおすすめだそう。およそ確保しておくべきバッファを把握できれば、貯蓄目標も設定しやすくなります。

お金は3つの袋で備える

お金は3つに分けて管理しましょう
お金は3つに分けて管理しましょう

 最も大事なことは「支出の見直し」です。日々、どんなことにどれくらいお金を使っているか、本当に把握できていますか? カフェやコンビニなどを頻繁に利用してしまう「ちょこっと浪費」が癖になっている人もいる、と高山さんは指摘します。

 「お金は『自分の人生を映し出す鏡』です。お金とうまく付き合っている人に共通しているのは『自分はこうなりたい。だから、こういうことにお金を使いたい』というビジョンが明確なこと。例えば、コンビニでちょっとしたものを買うときにも、自分の中の基準に照らして『本当に必要?』と考える意識を持ちたいですね」(高山さん)

 その上で、「日常に使うお金」「約5年以内に使うお金」「老後に使うお金」の3つに分けて管理するのがおすすめだといいます。

 「例えば『日常』は普通預金、『約5年以内』は定期預金、『老後』はiDeCo(イデコ)で……というように、貯蓄・運用の方法まで整理できると完璧です。お金に向き合うことは、自分と向き合うこと。つまり、お金の管理を曖昧にしないためには、まず自分がどんな人生を送りたいのか、先を見越した視点を持つことが不可欠なのです」(高山さん)

 どんな人生を選んでも、さまざまな場面でお金がかかるもの。まずは支出の見直しから初めてみてはいかがでしょうか。

文/加藤藍子 イラスト/渡辺あやね