民間の医療保険を検討する前にすべきこと

 心配だからといって、手当たり次第に保険へ加入するのはおすすめできません。必要な保障をしっかりと見極めることが大切です。高山さんは「まず公的保険や、勤め先の制度で保障される範囲を事前に確認しておくことが必要」と強調します。

 例えば、日本には高額療養費制度があります。大きな病気やケガをして医療費の自己負担額が高額になった場合でも、一定の金額(自己負担限度額)を超えた分は、健康保険または国民健康保険で手当てされるのです。所得などによって異なりますが、入院などで数十万~数百万円のお金がかかっても、最終的な支払額は大幅に減ります。

 また、会社員が病気やケガで一定期間仕事をすることができなかった場合、本人の給与に基づいて算出された傷病手当金が支払われます。通常の支払期間は1年半ですが、会社によっては「3年間」など、独自に制度を充実させているケースもあります。

 こうした仕組みについて知っておかないと、不要な保険に加入してお金を無駄にしてしまうことにもなりかねません。民間保険は、あくまで「公的保険などで足りない分を補うもの」という意識を持っておきましょう。

民間の医療保険は「補うもの」です
民間の医療保険は「補うもの」です

 社会人になると、周囲から生命保険への加入を勧められることもあるでしょう。ただ、高山さんは「生命保険は、本人が死亡した後、残された家族の生活を保障することが主な目的の保険。家族を持ってからの検討で十分に間に合います」と話します。

 「20代の独身女性であれば、むしろ病気やケガで働けなくなったときに備えることが重要なので医療保険のみでOK。貯蓄機能が付いた商品は保険料が割高になるので、掛け捨てのものがいいと思います。年齢が上がるにつれて1カ月当たりの保険料は上がっていくのが通例ですが、20代であれば2000~3000円で加入できます」(高山さん)

 保険会社の公式ウェブサイトを見ると、各社の主力商品が大きく打ち出されている場合が多いそう。

 「各社の特性や強みが読み取れるので、自分が必要な保障内容と保険料のバランスを見ながら、じっくり比較・検討しましょう」(高山さん)