――中には、「貯蓄がたくさんないと幸せになれない」と思い込んでいる人もいると思います。どのように感じますでしょうか。

 「私は、お金を貯めること自体を目的にするのではなく、お金を貯めることは、何かを達成するための手段だと考えているので、お金があるかどうかと、幸せかどうかとは、全く別のことだと考えています。

 確かに、1000万円などたくさんの貯蓄がある方は素直に尊敬します。そういう方々は、お金に余裕があるから簡単に貯められたのではなく、私よりも上手にやりくりをして、将来のことをしっかり考えて貯めていたのではないかと思うからです。

 でも、お金がたくさんあれば幸せになれるのではなく、人それぞれの目標次第なのではないでしょうか」

――N・Mさんは、あまり周りに流されず、着実に自分の道を歩まれている印象があります。

 「そうですね、高望みをしないことが大事だと考えているんです。

 高い理想ばかりを求めないで、確実に自分の足下を固めていく。そうすれば、後から気付くと自分も成長できているし、収入や暮らしも前よりも豊かになっていっていることに気付けると思っています。普段から人と比べるのではなく、常に自分自身と向き合うことを大切にしたいと考えています。

 私の周りには裕福な子が多くて羨ましくて、以前はお金がなくて不自由だと感じたこともありました。でも、裕福で幸せそうだと見えても、実は親の仲が悪くて離婚していたり、本人は自分に自信が持てずに悩んでいたり……。結局、お金があるから幸せだとは限らないのだと気付いたんです。

お金があるから幸せだとは限らないと気付きました (C) PIXTA
お金があるから幸せだとは限らないと気付きました (C) PIXTA

 お金はとても大切だと思います。でも、お金が人を幸せにするのではなく、結局は自分自身が幸せをつくっていくのだと、これまでの人生の中で学びました。

 とはいっても物欲は尽きず、せっかく貯めたお金を使って反省することも多いですが(笑)、頑張ってお金を貯めている人を見習いながら、自分が心から納得のできる、充実した毎日を送りたいと思っています」

文/西山美紀 写真/PIXTA