いきなり独立はハードルが高くても、副業なら小さく始められる

 私は独立して10年、講演、コンサルティング、執筆など「個人」の名前で生きている立場であるため、最近はフリーランスや独立をして、個人の名前で生きていくためにはどうしたらいいか? という相談を多くもらうようになりました。

 日経ウーマンオンラインの読者の皆さんの中にも、

「今の会社でのキャリアップだけを視野に入れるのではなく、自分のスキルを他でも生かしたい」
「好きなことで食べていきたい」

という方は多いのではないでしょうか。

 いきなり独立、はハードルが高いとしても、会社が副業解禁をし始めている今こそ、今の会社にいながら、市場で自分がどのくらい受け入れられるかを小さく試すチャンスなのではないかと私は思います。

 前回の連載「じぶん働き方改革」で提案したのは、会社の変化を待たずに自分を改革することで来るべき時代に備えるための仕事の効率化の提案でした。次に提案するのは、仕事の効率化から一歩進んだ、自分の価値の上げ方、つまり「じぶん商品化戦略」です。

 この連載で言う「じぶん商品化戦略」とは、「自分の価値がここにあるのではないかな?」と仮説を立て、パッケージ化し、値付けして販売しながら試行錯誤を繰り返すことを言います。

 今後副業が当たり前になっていく中で、単に時間の切り売りをする仕事を副業や兼業に選ぶことは、自分を自らブラックな働き方に連れていくことにつながりかねません。会社員を続けながらも、自分の価値を見極め、能力を役に立つ形でパッケージ化するための方法をこの連載ではお伝えしていきたいと思います。

 幸福度は、自分が選択して責任を持つという「選択の自由」があると高まることが神戸大の研究で分かったそうです。(*3)

 たとえ今は独立するつもりはない人でも、会社で副業が禁止されている人でも、個人としての能力を磨き、会社に貢献し続けていくことは、変化が激しい世の中では評価される上で必要な能力です。何があっても自分で決め、責任を持つことができれば、それはそのまま、あなたの幸福感にもつながっていきます。

 来るべき時代に備え、今からしっかりと準備し、人生のハンドルを自分で握っていきましょう!



まとめ

●副業解禁は、今後の社会情勢からも避けられない流れだ

●時間を切り売りする感覚でいると失敗する。時間ではなく価値を交換できれば、時間にとらわれない働き方を実現できる。

●自分の能力を最大限に生かすためには、「じぶん商品化」が不可欠

●自分商品化とは、「自分の価値がここにあるのではないかな?」と仮説を立て、パッケージ化し、値付けして販売しながら試行錯誤を繰り返すこと

●「じぶん商品化」ができれば、たとえ会社がなくなったとしても、自分で柔軟に生きていける力がつく

●副業に興味がない、会社が副業禁止という人でも、今のうちに備えておくべきスキルが「じぶん商品化戦略」

副業解禁時代の新しい働き方は「じぶん商品化」が鍵です (C)PIXTA
副業解禁時代の新しい働き方は「じぶん商品化」が鍵です (C)PIXTA

文/池田千恵 写真/PIXTA