誰もが好きな香りは存在しない

 こんにちは、男性美容研究家の藤村岳です。今回の香りというテーマですが、これほど男女で見解が異なるものはないのでは?と思っています。雑誌で香水の連載を持っているボクは多分普通の男性より、香りが好きですし、理解もあるはず。しかし、それでもなお、覚えておいていただきたいのが、万人に好まれる香りはない、ということ。

 どんな人でも好きな香りと嫌いな香りがあるのです。

 さて、ちょっとお勉強をしましょうか。そもそも嗅覚は、五感の中でも情動に関わる大脳辺縁系に直結しています。つまり、理性的な判断をする大脳新皮質を経由しないので、本能的に“好き/嫌い”を一瞬で、判断してしまうんですね。相手にとっていい香りを味方につけられれば最強ですが、反対におかしな臭いをさせていたら即、生理的に嫌われてしまうということ。

 考えてみればわかりますが、ある食べ物があって、それが果たして腐っているのかどうか、判断する時に目で見てわからなければ、鼻で臭いを確かめるはず。嗅覚は生命を脅かす危機を回避する重要な役目を担ってきました。

 また、年頃の女性が父親の臭いを嫌うようになるのは、なるべく自分から遠いDNAを選ぶようにするためという説もあります。遠いほど、雑種となって特定の病気などに打ち勝つことのできる強い遺伝子を残せるのだとか。

 とはいえ、私たちは普段、そこまで大げさには考えていないはず。「バラの香りが好き」、「スパイシーなのが今の気分」こんな軽い感じで香りを選んでいると思います。もちろん、それでいいでしょう。アロマテラピーの世界では、今選んだ香りは体が欲しているものとされるから。

 それでも、大事なことなので、二度いいますが、それでも、世の中には「香り全部が嫌い」という人も少なからずいるのを忘れてはいけません。