合コンではあえて古くさい香りを

 かのマルセル・プルーストは『失われたときを求めて』の中で、紅茶にマドレーヌをひたした香り(味の場合も)で、幼い頃のことがふっと甦った、と書きました。ここから特定の香りで記憶が甦ることを“プルースト効果(現象)”と呼ぶように。

 たとえば香りで相手の気持ちをググッと掴めたら、合コンで勝てるはず。とはいえ、これは難題。相手がよくわからないのが、合コンですから。その人の素性も知らず、ましてや過去に体験した香りなんて知る由もありません。

 まあ、偶然に頼るしかないわけで。しかし、その精度を高めることはできるはず。それは、少し前に流行った香りをまとうこと。以前、付き合っていた女性と同じ香りだと、男は何だかソワソワします。たとえ、あまりいい別れ方をしていなくても、なんとなく気になってしまうもの。

 ただ、彼の母親と同じ香りなんてことがおきることも。それで、クラッと来てしまった男性は、マザコンだった……なんてシャレにもならないでしょうか。

 まあ、冗談はさておき、どこか懐かしい香りをまとう方が、合コンでは成功しそうです。というのも、男性に安心感を与えられるから。フローラルやパウダリーな優しい香調は◎。エッジが効いていると「手強そうだな」と思いますが、ふんわりと包まれるような雰囲気だと心穏やか。

 また、グルマンな香りもいいですね。こちらはフルーツやカクテルなど、食べ物・飲み物を想起させる香調。おいしいものは、幸せなイメージがあります。合コンといえば、食事のことが多いので、その場にもしっくりと馴染みそうです。

女子会やビジネスではどんな香りが有効?

 一方で、お互いを評価し合う女子会にはトレンド感のあるものを。きちんと流行の香りを押さえていることは大事です。女性同士で「同じ香りだ!」と共感を得られれば、前述したように嗅覚の情動に及ぼす効果から仲間意識が深まるかもしれません。

 また、あえて男性用を使って、他の女性達と違う土俵にあがってみるのもいいでしょう。とはいえ、こういうハンサム系な使いこなし方は、だいぶ前からやっている女性もいますので、出席するメンバーの嗜好を分析し、かぶらないようにご注意を。

 ビジネスの場では、相手によって対応を変えるのがよいでしょう。もし、日本人ばかりなら、あえてのノーフレグランス。若い世代と一緒ならば、貴女の好きな香りで構わないと思うのですが、相変わらず「香りは苦手だ」というオジサマ達も多いです。そういうときは、香りはまとわない方が無難。

 一方で、グローバルなビジネスの機会があれば、ぜひ香りを味方につけて。というのも、外国人、とくに欧米の人たちは、香水は人生の一部と考えている人が多く、貴女の香り自体が話題になることもよくあります。

 そんな時は、カンバセーションピースとして、ちょっとニッチなメゾン系フレグランスがお勧め。そのブランドの歴史やなぜ好きなのか、などを話すことができれば、相手にお洒落且つ、聡明な印象を与えることができます。

 ここに挙げたのは一例ですが、服装を選ぶようにシーンに合わせて香りも選ぶべき。「好きだから」という単純な理由だけではなく、相手にどう思ってもらえるか、そして相手にどう思わせたいのか、を考えて香水を決めると、また新しい発見があるはずです。

文/藤村 岳 写真/PIXTA

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