頭痛

 PCやスマホを長時間使うと、同じ距離を、同じ姿勢で、長時間見続けることになります。眼球の周りには、眼球を動かす6本の外眼筋と、まぶたを動かす眼瞼挙筋、眼輪筋などがありますが、同じ姿勢で長時間画面を見続けると、眼球周囲の筋肉と、眼球内部の筋肉がフリーズして筋肉疲労を起こします。眼球は、顔の感覚を伝える神経の三叉(さんさ)神経と近いため、目の周りの筋肉の疲労が目の奥の鈍痛や、頭痛につながりやすいのです。

まぶたの痙攣

 目を酷使していると、まぶたがピクピクと痙攣することがあります。多くは眼精疲労やストレスが原因ですが、気になる場合は受診しましょう。

 「自覚症状がなくても、さまざまなトラブルの根底に眼精疲労が隠れていることも少なくありません。できれば定期的に、眼精疲労の専門医を受診するといいでしょう」(森岡さん)

ハードコンタクトでリスク増。若い人に増えている眼瞼下垂

 「眼瞼下垂」とは文字通り、まぶたが垂れ下がる症状。主に上まぶたにある上眼瞼挙筋という筋肉が伸びてしまうことで、まぶたが開きにくくなり、時には黒目まで覆いかぶさって視界を遮ることもあります。加齢による筋力の低下で起こるため中高年に多い病気ですが、最近は若い人にも増えているとか。

 「昔より目が小さくなった、目が開きにくい、いつも眠たそうと言われる、目を開く時に眉が上がる・おでこにシワが寄る、といった症状がある人は、眼瞼下垂の可能性も。

 覆いかぶさってきたまぶたを開こうと余計な力が入るため、慢性的な肩凝りに悩まされる人も多いです。長年ハードタイプのコンタクトを使っている人は眼瞼下垂のリスクが上がります。異物を挿入した状態でまばたきをすることで、上眼瞼挙筋などが薄く伸ばされて筋肉の収縮が失われ、まぶたが上がりにくくなるためと考えられます」(森岡さん)

 ソフトレンズよりもハードレンズのほうが異物感が大きく、眼瞼下垂のリスクも上がると考えられているそうです。「最近は処方箋なしでネットなどでコンタクトレンズを購入している人も増えていますが、コンタクトレンズは目の合併症のリスクも上がるため、必ず眼科医の指導のもとで使用してほしい」と森岡さん。

 次回は、オフィスや自宅でできる、目の疲れをその日のうちにリセットするセルフケアをお伝えします。

文/中島夕子 イラスト、写真/PIXTA

この人に聞きました
森岡清史(もりおか・きよし)さん
医学博士。浜松医科大学医学部卒業後、東京大学大学院医学系研究科にて網膜色素上皮細胞の研究に従事。東京医科大学、田無第一病院眼科医長を経て、吉祥寺森岡眼科を開設。眼精疲労治療室を併設し、東洋医学を取り入れた専門的な治療にあたる。著書に「眼精疲労はまかせなさい!」(現代書林)、「1日3回ツボを押すだけで目はすぐよくなる!」(KADOKAWA)、12月には新著「目がじわじわ楽になる 立体 遠近トレーニング」 (サンクチュアリ出版)も。