コンタクトレンズの長時間装用はなぜ危険?

 コンタクトレンズの素材も日々進化し、不快感が軽減されてきた分、長時間装用してしまう人も増えているそうです。起きてから寝るまで着けっぱなしという人もいるのではないでしょうか。

 長時間のコンタクトレンズの装用は、ドライアイや角膜の傷などのトラブルにつながりやすいですが、これらは自覚症状が出るので比較的早めに対処することが可能。しかし、気づかないうちに角膜内の細胞が死滅してしまうことがあるそうです。

 「角膜の最も内側に角膜内皮細胞と呼ばれる細胞があり、この細胞は一度死滅すると再生せず、加齢でも少しずつ減少します。長年にわたってコンタクトレンズを長時間装用している人は、角膜が慢性的に酸素不足になるため角膜内皮細胞が減りやすくなります。すると、角膜が濁って視力低下の原因に。さらに将来、白内障の手術を受けられなくなることもあります」

 「角膜は光を通すために血管がなく、通常は大気中から酸素を取り込んでいます。しかし、コンタクトレンズによって酸素不足が続くと、血液から酸素を取り込もうと、結膜から角膜に血管が侵入してくることがあります」

 目の疲れを日常的に感じ始めている人は、コンタクトレンズの使い方を改めて見直す必要がありそうです。一日の装用時間を守ることはもちろん、「週に何日かはメガネの日にする」、「帰宅したらすぐにコンタクトを外す」「目薬を使ったり、目を温めたりするセルフケア」を取り入れて、一生使う目をいたわりたいものですね。

文/中島夕子 写真/PIXTA

この人に聞きました
森岡清史(もりおか・きよし)さん
医学博士。浜松医科大学医学部卒業後、東京大学大学院医学系研究科にて網膜色素上皮細胞の研究に従事。東京医科大学、田無第一病院眼科医長を経て、吉祥寺森岡眼科を開設。眼精疲労治療室を併設し、東洋医学を取り入れた専門的な治療にあたる。著書に「眼精疲労はまかせなさい!」(現代書林)、「1日3回ツボを押すだけで目はすぐよくなる!」(KADOKAWA)、12月には新著「見える力がよみがえる 立体 遠近トレーニング」(サンクチュアリ出版)も。