eスポーツ後進国日本 その課題は?

 さまざまなゲーム企業を抱える日本だが、実は日本はeスポーツ後進国であり、多くの課題を抱えている。

 総務省情報流通行政局情報流通振興課の「eスポーツ産業に関する調査研究報告書」(*1)によると、2017年時点での海外市場規模は700.9億円、視聴者数は3億3500万人に上る。一方、同年時点での国内市場規模は5億円未満、視聴者数は158万人であり、日本ではまだまだ普及していない。

 現在eスポーツで利用される人気タイトルはいずれも海外企業が開発したものであり、日本企業が開発したものはほとんどない。また、eスポーツのプロプレイヤーも国内ではまだまだ少ない状態だ。

 さらに大きな課題として挙げられるのが、法律だ。海外では大金を賞金としたeスポーツの大会が催されている。一方、大金を大会勝者に分配するために出場者から出場料を徴収した場合に刑法賭博罪に抵触する可能性があるなど、日本では法律に抵触しないように開催することが難しくなっている。

意外? eスポーツのゲームタイトル

 eスポーツで選ばれるタイトルには、「Dota2」「League of Legends」「Counter-Strike:Global Offensive」など、さまざまなものがある。プレイヤーが2つのチームに分かれプレーヤーがキャラクターを操作しつつ、敵チームの本拠地を破壊する「マルチプレーヤーオンラインバトルアリーナ(MOBA)」系、一人称シューティングゲーム「ファーストパーソンシューティング(FPS)」系をはじめ、格闘ゲームやスマートフォンゲームなどいろいろな種類に分かれる。タイトルによって、ルールもプレイヤーも異なるというわけだ。

 現在、日本eスポーツ連合(JeSU)がプロライセンスを発行している。それによると、日本では、ジュニアライセンスも含め120名、8チームがプロとして認定されている。2018年10月5日時点で、「ウイニングイレブン2018」「コール オブ デューティ ワールドウォーII」「ストリートファイターⅤアーケードエディション」「鉄拳7」「パズドラ」「ぷよぷよ」「モンスターストライク」「レインボーシックス シージ」の8タイトルで認定が行われているが、今後さらに増える予定だ。(*2)

単に体を動かすことだけがスポーツではない――。「スポーツ」の概念が変わりつつあります (C)PIXTA
単に体を動かすことだけがスポーツではない――。「スポーツ」の概念が変わりつつあります (C)PIXTA

 国内でもゲーム実況動画は若者に人気のジャンルだ。世界的に人気が高まっているeスポーツは、これから日本でも浸透していくことは間違いない。ゲーム産業だけでなく、多くの企業や投資家がこの新しいビジネスに乗り出してきている。時代の新しい動きとして注目してみてはいかがだろうか。

(*1)総務省情報流通行政局情報流通振興課 「eスポーツ産業に関する調査研究報告書(平成30年3月)」より
(*2)日本eスポーツ連合 「ライセンス認定タイトル」より

文/高橋暁子 写真/PIXTA