「将来はフロマジェになりたい」という子が増えたらいいな

 私は日本を拠点にしながらも、折々海外に行き、仕事もしてきました。そうした経験は、日本人である自分を見つめ直すよい機会になっています。外国の文化に触れることは楽しいけれど、反対に日本文化の素晴らしさを感じるんです。イースターもいいけれど、やっぱり節分やひな祭り、端午の節句もいいよねって(笑)。チーズは外国の食文化なので、いったんは海外に目が行きます。でもやっぱり、日本にいる素晴らしいチーズの生産者さんに気持ちが向いていきますし、日本人である自分ならではの感覚でチーズを広めたいと思うんです。それも、長年外国を見てきたからだと思います。

「チーズは、日本酒やお茶にも合うので、日本人ならではの提案をしていきたいです」
「チーズは、日本酒やお茶にも合うので、日本人ならではの提案をしていきたいです」

 今私には、次の世代のフロマジェを育成する使命があると思っています。ワインにソムリエ、ケーキにパティシエ、コーヒーにバリスタがいるように、チーズにもフロマジェというプロフェッショナルがいることを知ってもらい、この職業を広めていくことが私のミッションです。

 そのために何ができるかなと考え、2015年に、日本チーズアートフロマジェ協会を設立しました。ありがたいことに最近は東京近郊だけでなく、日本各地からの受講生がいらっしゃる他、韓国や、台湾、そして本場フランスの方もチーズアートの技術を学びたいと来てくださいます。チーズをカットして感動を生む盛り付けという技術はこれから日本だけでなく、本場フランスをはじめヨーロッパへ、そしてアジアへも広がる技術と確信しています。それができる次世代のフロマジェを育てていくつもりです。いつか、「将来はフロマジェになりたい」と言ってくれる子どもたちが増えることを願っています!

「『チーズソムリエ』ではなく、『フロマジェ』という言葉を知ってほしいです!」
「『チーズソムリエ』ではなく、『フロマジェ』という言葉を知ってほしいです!」
◆フロマジェ、ザ チーズルーム アカデミー副校長 村瀬美幸さんインタビュー
第1回 夢の職に就けた…けど自信がない キャリア捨てたCA
第2回 CAからチーズのプロへ「世界2位では駄目と知った」
第3回 「何になるの?」と言われていたお稽古事で、世界一に(この記事)

聞き手・文/金田妙 写真/稲垣純也