制作過程をちょっぴり拝見

 現在、アクセサリーに使用しているワイヤーの素材は14金とシルバー。よく見ると、断面は丸ではなくカッティングされて四角になっています。揺れるタイプのアクセサリーによく合い、角度によってきらきらと光ってとてもきれい。「試行錯誤の末、今年ようやくこの素材に落ち着きました」と太田さんは言います。

 「以前はメッキのワイヤーを使用していました。強度がないワイヤーは曲げやすくて作りやすいけれど、その分変色や、壊れやすいというデメリットもあります。そのため、より硬いワイヤーを探したり、補強のためにデザインを兼ねてワイヤーを足したことも」

 購入してくれた人の手元に届いた後も「すぐ壊れてしまうかもしれない」と不安な日々だったそう。そんな中、より壊れにくい素材を探すきっかけとなったのは、購入した人からの声でした。

 「『筆記体文字のアクセサリーは、世界に一つだけの特別なもので愛着も湧いてくる。変色した、壊れたからといって捨てたくないから、金額が高くなってもいいので、壊れにくい素材で作って』と。この素材に出合った今は、もうそういった悩みは解消されました」

話をしながらも常に手を動かしている太田さん。あっという間に作り上げてしまいました
話をしながらも常に手を動かしている太田さん。あっという間に作り上げてしまいました

 この日は実際に、ピアスを作ってもらいました。ペンチでワイヤーをくるくると丸め、筆記体で「Kai(ハワイ語で海」が瞬く間に出来上がり、アクセサリーのパーツ同士をつなぐ「丸カン」まで作り始める太田さん。さらになんと、ピアスのフックの部分まで自分で作るんだとか。

 「パーツは全部オリジナルにしたかったんです。特徴のあるワイヤーを使っているので、市販品を使うとどうしても素材の質感が違ってしまう。同じ素材で作れば統一感が出て、何より仕上がりがきれい。満足感が違います」

天然石にワイヤーを通し、くるくるっ。まるで手品を見ているみたい
天然石にワイヤーを通し、くるくるっ。まるで手品を見ているみたい

制作を始めてから○○をしなくなりました

 アクセサリーの制作は、購入者への発送期限もあることから、平日、土日を問わず空いている時間に少しずつ進めているという太田さん。制作活動を始める前と後で「大きく変わったこと」があったと言います。

着けていたら「その文字、どんな意味なの?」なんて話も弾みそう
着けていたら「その文字、どんな意味なの?」なんて話も弾みそう

 「お酒をほとんど飲まなくなりました(笑)。以前はお酒を飲みに出掛けることが多く、付き合いで仕方なく……なんて日もありました。でも今は、飲んでしまうとアクセサリー作りに集中できなくなるし、二日酔いで翌日の午前中を潰してしまうのはもったいない。ほぼ飲まなくなったので、友人たちから『どうしたの?』と言われてしまうほど。今はとにかく時間が大切なので、あのころは無駄にした時間もあったなぁ、と思うんです」