仕事と「ソロ活」の両立はどうしてる?

アクセサリー制作を始めてから「街中でも、デザインを考えながら歩くようになった」
アクセサリー制作を始めてから「街中でも、デザインを考えながら歩くようになった」

 日中、仕事中もふとデザインのアイデアがひらめいたときは、思わず付箋にメモすることもあるんだとか。仕事で疲れて帰った日は制作する気力も出ず、プライベートで予定が立て込んだときなどは、時間がなかなか取れず徹夜して仕上げたこともあったそう。それでも会社員として仕事を続ける理由って?

 「日中は会社員として働いていることで、生活にメリハリも出るし、何より会社の人たちとの会話は気分転換にもなります。上司も『今度奥さんに買ってあげようかな』とか『アクセサリー、こんなふうに展示してみたら?』なんて助言してくれたりすることも。理解のある上司や同僚に恵まれたことは、とてもありがたいですね」

 趣味で始めたアクセサリー制作で、こんなにも大きい反響が出たことや、リピートしてくれる顧客が増えたのは想定外だったとか。収入のほうはどうなのでしょうか。

 「収入面は、思っていた以上にいいです。ただ最初から好調だったわけではなく、活動を始めて3~4年は、それほどでもありませんでした。素材を試行錯誤するなど工夫を重ねたおかげで、今年に入ってからは目標としていた金額を超えました」

 ここで私たちはつい「自分もできるかも?」「副業としてできるかも?」と勘違いし、夢を見てしまいそうになります。しかし、ある「大切なこと」がなければ成り立たなかった、と太田さんは言います。

何より重要なのは「楽しむこと」

 「『楽しいという気持ち』が何よりも大切だと思います。『楽しくて仕方がない』と、ただただ好きなこと、楽しいと思えることを前向きに続けてきたら、自然とお客様との縁ができていたんです。生活のため、収入をもっと上げたいというだけの理由だったら、続けていられなかったかもしれません」

 太田さんの真っすぐな言葉に、安易に「私も始めたい」との考えが頭をよぎったことを、思わず恥じたのは言うまでもありません。健康的な生活のリズムも手に入れた太田さん。今後はどのような夢や目標を実現させたいと思っているのでしょうか。

 「遠い目標ですが、アクセサリーと『何か』の融合ができればと思っています。例えば、カフェのガラス張りのテーブルの下にアクセサリーが並んでいて、気に入ったら食事をした後に購入できるような空間など。ネット上で売るだけでなく、これからは何か違う分野との融合で、新しい可能性をどんどん開いていきたいな、と思っています」

「いつかどこかで、自分が作ったアクセサリーを身に着けている人に遭遇したら、声を掛けてみたい」
「いつかどこかで、自分が作ったアクセサリーを身に着けている人に遭遇したら、声を掛けてみたい」

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 一人でコツコツと始めたアクセサリー制作。持ち前のバイタリティーと、「ただただ作ることが楽しい」の一心で、ひたむきに作品を作り続けてきた太田さん。これからの夢を語るときの笑顔は、彼女が作り出すアクセサリーのように、きらきらと輝いていたのでした。

文/尾崎悠子 写真/小野さやか

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