「本業」と「勉強会」のバランスを保つコツ二つ

 一方、本業と勉強会とを両立する松尾さんの1日のスケジュールを聞いてみると……。

 「霞ヶ関ばたけがある日は、1歳半の子どもと一緒に、5時50分に起床。朝食を取り、身支度をして、6時半に家を出ます。7時15分から9時まで勉強会を運営したら、9時半に農水省へ出勤。18時15分までフルタイムで勤務後、庁舎内保育所に子どもを迎えに行きます。帰宅後、夕食や入浴、寝かしつけ、その後の後片付けなどをしていると、就寝は早くて24時前後です」(松尾さん)

 分刻みで詰まるタスクをこなしていくためのタイムマネジメントが、松尾さんの目下の課題だといいます。工夫を始めたことは大きく二つあるそう。

 「一つは、スケジュールにバッファを持たせること。もともと、頼まれた仕事は全部受けてしまいがちなタイプではあるんです。予定を詰め過ぎていると、子どもが熱を出してしまうなど突発的な事態が発生した途端、すべてが崩れてしまう。私にとっては、本業も、それ以外の活動も同じくらい大事。その気持ちとのバランスをどう取っていくかは考えていきたいです」(松尾さん)

 もう一つは、「タスクを整理して他の人に振る」スキルを身に付けること。当日の運営だけでなく、企画や、活動の今後の展開についてもアイデアを出さなければならない松尾さんにとっては不可欠なことです。

 「頼れるところは周囲に頼る。これを自分に言い聞かせています。ちょっとした雑用や事務って、ワクワクするような作業ではないから、他の人にお願いするのは申し訳ない気持ちがあったんです。でも、メンバーに『もっと仕事を振って』と声を掛けてもらって、少しずつ頼れるようになりました。現在はTO DOリストの一覧を共有して、できることを手伝ってもらっています」(松尾さん)

 本業と勉強会、そして家庭を両立していくためには、自分自身の状態をモニタリングし、無理が生じた場合に一早くキャッチする意識も大切になりそうです。その「気付き」にもつながっているのが、仕事も家庭も含めた課題について話し合う「夫婦会議」だといいます。

 「3カ月に1回、ホテルに泊まり込みで、夫とじっくり話し合っています。日々のスケジュール管理のベースになっていますね。急いで話し合わなければならないことがあるときは、臨時でも開催します。先日は私のオーバーワーク問題が議題に上がりました(笑)。『予定を詰め過ぎると周りにも迷惑を掛けかねない』とアドバイスをくれたのは夫なんです」(松尾さん)

 夫婦会議中に大事にしているのは、相手の主張をまず受け入れること。先回りして否定したり、評価したりしないように気を付けているそう。家事・育児はお互いの状況を見ながら、夫婦で対等に分担しています。

 「互いに、相手のやりたいことを全力で応援し合える関係が理想。そのためには、定期的に本音をぶつけ合って、信頼を築き上げていくことを心掛けています」(松尾さん)

 ちなみに、二人は友人と共にシェアハウスで生活しているそう。

 「子どもは本当に目が離せない時期ですが、私が何か作業をしていても、同居している皆が声を掛けてくれたり、見守ってくれたりしているので、とても助かっています。もちろん、同居する人たちが困っている時は、私も出来る限りお手伝いをしています。家庭、職場、活動をする団体……、生活をするさまざまな場で味方をつくっておくと、壁にぶつかったときにも乗り越えやすくなるのではないでしょうか」(松尾さん)