「いつか、やろう」と思っているなら「今、やる」

 小布施での活動をともにしていた大学の先輩と2人で、特産品のお菓子のパッケージをかわいくする活動を始めることを決め、大学3年生の時に会社を設立。

 「起業についてはあまり深く考えていなかったんです。どうしても地方のものをかわいくしたいって気持ちがあって、その勢いですね。『いつか、やろう』の『いつか』は本当に来るのか、分からないですよね。2011年の東日本大震災の影響で、自分の意識が『いつか、やろう』から『今、やろう』に変化していたことも大きかったと思います。当時は同じ気持ちを共有していたからか、学生団体を立ち上げたり、起業にチャレンジしたりする人が多かったような気がします」(正能さん)

「『いつか、やろう』の『いつか』って、本当に来るか分からないですよね。だから、『今、やろう』という意識に変わっていきました」(正能さん)
「『いつか、やろう』の『いつか』って、本当に来るか分からないですよね。だから、『今、やろう』という意識に変わっていきました」(正能さん)

1時間当たりの自分の価値を最大化させる

 大学卒業後はハピキラの経営を続けながら、広告代理店に就職。約2年半務めた後、ソニーへ転職しました。兼業という道を選んだ理由は、「オンリーワンの存在を目指したかったから」なのだそう。

 「仕事も、家族も、友達も、自分の時間も、全部大事にしたいし、色々なことに時間を使いたい。でも、日常のちょっとしたことで我慢したくないんです。大金持ちになりたいという気持ちはないけれど、カフェで紅茶を飲む時は少しだけぜいたくしてロイヤルミルクティーとか飲みたい(笑)。そうすると、他の人より短時間しか働きたくないのに、人生に1.3倍くらいお金がかかる。1時間当たりの自分の価値を最大化するにはどうするかを考えなければいけませんよね」(正能さん)

 「ナンバーワン、ファーストワン、オンリーワン……。自分の価値を上げる戦略にはいろいろあると思います。私には、起業家としてナンバーワンになるとか、世の中に存在しなかったものを発明するファーストワンになる自信はありませんでした。そこで当時考えたのが『会社員でありながら、ベンチャー企業の経営者』というポジションであれば希少性があるのではないか、ということ。つまり、オンリーワンを目指すことでした」(正能さん)