ソニー、ハピキラ、プライベート…正能さんの「人生配分表」とは?

 自分の欲望に正直になった結果として選んだ「パラレルキャリア」。正能さんにとって理想的な働き方ですが、複数の仕事とプライベートはどのように切り替えているのでしょうか。時間管理に欠かせないのが「人生配分表」だといいます。

 「仕事・友達・家族・趣味……、人生にはさまざまな要素があります。自分の人生を考えたときに、私は、『それぞれ70点くらいでいいから、人生全体として120点の満足を得たい』と思いました。でも、一時期はどうしても仕事に割く時間が多くなり過ぎてしまって。大好きな祖母の体調が悪化したことをきっかけに、仕事以外の要素に充てる時間を確保するべく工夫するようになりました。結果、項目ごとの時間配分をあらかじめ決めておき、バランスを取っていく方法に行き着いたんです」

正能さんの人生配分表
正能さんの人生配分表
ソニー 40時間、ハピキラ30時間、大学教員の仕事 15時間、勉強20時間、交際15時間、家族3時間、睡眠45時間 ※1週間ベースで計算。いずれも移動時間などを含む

 配分を見直すタイミングは「楽しくないとか、気持ちよくないとか、自分の中に違和感が生まれた時」。自律的なキャリアを実現するためには、時間が有限であることを自覚した上で、配分の仕方を明確にしていくことが大切です。

 「状況や考え方によっては、仕事に100%配分することがあってもいいと思う。例えば、みんなブッフェに行ったら、好きなものを好きなバランスで、好きな量だけ食べますよね。それが幸せじゃないでしょうか。カレーとパスタがあって、カレーが好きだからそれだけ食べ続けたい人もいれば、カレーもパスタも少しずつ楽しみたい人もいる。だから、一つの仕事に一生懸命なのも素敵だし、複数の仕事をするのもいいと思うんです。自分なりの配分でキャリアを組み立てることを、私は『ブッフェキャリア』と名付けて実践しています」

アイデアや考えは「書くこと」で頭の中を整理

 自分の気持ちに正直になる――。そうなれたら理想的ですが、取り組んでいることや置かれた境遇に対してマイナスな感情を抱いても、つい我慢してしまう人は多いはず。正能さんは「なぜそういう気持ちになるのか」をiPadのノートに書き出すことで、気持ちを言語化することを習慣にしているそう。

 「学生時代からの習慣なんです。例えば『悲しい』という気持ちを感じたら、どういう事実が自分をそういう気持ちにさせているのかを分析して、突き止める。そうすれば、行動や環境をどう変えたらいいのか、対策を練られるでしょう? 私はこれを『立ち直ることの仕組み化』と呼んでいます。朝、早起きしてカフェに行き、頭を整理することが多いですね。仕事にもプライベートにも生きている習慣です」(正能さん)

「インスタグラマー」について、自分なりに考えを深めることもあります(正能さん) 写真/正能さん提供
「インスタグラマー」について、自分なりに考えを深めることもあります(正能さん) 写真/正能さん提供
「事実」と「感情」を客観的に分けて考える癖をつける 写真/正能さん提供
「事実」と「感情」を客観的に分けて考える癖をつける 写真/正能さん提供