ソニーモバイルコミュニケーションズの正社員として働きながら、大学時代に起業したハピキラFACTORYの経営も続ける正能茉優さん。「やりたい仕事が複数あれば、全部やってみよう!」という働き方、パラレルキャリアを提唱しています。なぜ複数の職業を兼ねる道を選んだのか? タイムマネジメントはどうしているの? 気になる実態を聞きました。

学生時代のインターンシップが「起業」のきっかけに

 ハピキラFACTORY(ハピキラ)は、地方の商品を女の子が好きな「かわいい」を切り口にしてプロデュースする会社。正能さんが大学3年生の時、大学の先輩と二人で立ち上げました。

 「パッケージを考案する『作る』という工程だけでなく、『広める』『売る』までやるのが特徴。つまり、商品を知ってもらい、販路まで獲得して消費者に届けます。そうすることで、本当の意味で地方を元気にすることができると思うんです」(正能さん)

ソニーモバイルでスマートプロダクトに携わりながら、ハピキラFACTORYの代表取締役社長を務める正能茉優さん
ソニーモバイルでスマートプロダクトに携わりながら、ハピキラFACTORYの代表取締役社長を務める正能茉優さん

 現在はソニーモバイルでスマートプロダクトに携わりながら、ハピキラの経営を続ける正能さん。「どちらが本業?と聞かれれば、どちらも私の人生の大事な要素の一つです」と語ります。そもそも、地方活性化に情熱を注ぐようになったきっかけは何だったのでしょうか。

 その原点は2010年夏。大学1年生の時、長野県小布施町で参加したインターンシップでした。

 「2週間ほど泊まり込みで、まちづくりに参加するという内容でした。当時は地方に強い関心があったわけではなくて。夏休みだし、長野で何か楽しいことをしたい、くらいの軽い気持ちで申し込みました。

 東京で生まれ育った私にとって、人口1万人ほどの小さな町での生活はとても新鮮でした。正直、初めは『何もない!』って思ったことも(笑)。でも、小布施町で過ごしている中で驚いたのは、まちの人が小布施と積極的に関わりながら、小布施に住んでいることを誇りに思ってそこに暮らしていること。その様子がとても素敵で、正直羨ましかったんです。たくさんのモノに囲まれていなくても、精神的に豊かであることが幸せにつながるのではないか。そう実感したことで、『地方』に惹かれていきました」(正能さん)

 その後、全国の若者240人を集めて小布施の活性化のアイデアを募るイベント「小布施若者会議」を企画し、開催。ところが、集まった顔ぶれを見た正能さんは、あることに気が付きます。

 「圧倒的に、女性が少なかったんです。調べてみると、参加者全体の23.8%。女の子に地方へ興味を持ってもらうにはどうしたらいいんだろう? そう考えたときに、地方にはおいしくてストーリーのあるものがたくさんあるから、それを女の子が好きな『かわいい』商品に変身させてみたら面白いんじゃないか、と思いつきました」(正能さん)

<次ページからの内容>
長野県小布施町でのインターンシップが起業のきっかけに
「いつか、やろう」→「今、やろう」 3.11が意識の変化に
●ハピキラ始動! も、最初に直面した壁とは?
●「好きなことで喜んでもらえる」ことが活動を続ける原点
●ソニー、ハピキラ、プライベート… 正能さんの「人生配分表」って?
●アイデアは「書いて」整理  iPadノートの中身を公開!
●好きなことを追求 「人生のタグ」を増やすことを意識しよう