「副業元年」といわれる2018年ですが、国内ではいまだ多くの企業が副業解禁に後ろ向きであるという調査結果も出ています。正社員でありながら既に副業にチャレンジしている人たちは、何にやりがいを感じ、どんな課題を抱えているのでしょうか? 座談会形式で本音を聞いてみました。

【座談会参加者プロフィール】
Aさん=IT・広報・36歳。副業でも、ベンチャー企業の広報を務める。本業の満足度は100点、副業の満足度は60点。今後のキャリアプランは、スタートアップ業界でコミュニケーションを生かした仕事を続けること。仕事が好きなので、ライフステージが変わっても続けたいとは考えているが、働く国や職種は、特にこだわりはない。
Bさん=IT・カスタマーサクセス・27歳。副業では、コワーキングスペースの運営に携わる。本業の満足度は95点、副業の満足度は80点。キャリアプランは、現時点では具体的には描いていない。「毎日楽しければそれでオッケー」。今はカスタマーサクセスとコワーキングスペースの運営に興味があり、その領域を極めたいと考えている。
Cさん=サービス・広報・マーケティング・39歳。副業では、社団法人の代表を務める。本業、副業ともに満足度は100点。キャリアプランは具体的には描いておらず、「あえてプランを立てない」ことがモットー。

どんな副業をしている? 始めたきっかけは?

Aさん 2018年8月から、副業で創業2年目のベンチャー企業の広報をしています。隔週で、土日いずれかに3時間ほど働く他、リリース作成などは平日夜の時間を使うこともあります。

Bさん コワーキングスペースの運営や体制構築支援に、2018年4月から携わっています。本業の職種「カスタマーサクセス」は、サービスを使うお客さんに、より快適で有意義な体験をしてもらうための施策を講じていく仕事。副業でも、そのスキルを生かせる領域の仕事を担当しています。ミーティングへの参加など、副業に充てる時間は週に数時間程度です。

Cさん 副業で社団法人の代表を務めています。本業との時間配分は、時期によってバラバラです。社団法人ではイベント運営などをしているため、大きな行事の直前は充てる時間が1週間で20時間ほどになることも。余裕のある時期は、週2~3時間でしょうか。

――なぜ、副業をしようと思ったのですか?

Aさん 副業先の製品とその会社のメンバーがとても好きだったからです。その製品をもっと世の中に知ってもらうために、できることがあれば……。そんな思いでお手伝いをすることにしました。「副業をすること」自体に興味があったわけではなかったので、自分が現在のような働き方をすることになるとは予想外の展開でした(笑)。

Bさん 一つの会社に依存する度合いを減らしたいという思いがありました。経験的に感じることなのですが、一つの会社だけしか居場所がないと、その場所で「認められたい」「有能だと思われたい」といった自己承認欲求が強くなり過ぎてしまう気がして。複数のコミュニティーに関わることで、建設的な関係が築けるのではないか、と。ちなみに、プライベートでは友人とシェアハウスに住んでいます。

Cさん もともと外資系IT企業で勤務していましたが、社団法人を立ち上げるために辞めた経緯があります。その後、立ち上げと並行して金融機関のPRを手伝うことに。その企業の会長から「二つを掛け持ちしたら?」と提案されたのがきっかけで、金融機関の正社員と社団法人の代表を兼ねる形になりました。今年3月、その金融機関から外資系企業に転職。引き続き正社員×社団法人運営の「複業」を継続しています。