あるある? 3人とも体を壊した経験が…

――オンとオフを上手にマネジメントしているようですが、「働き方」で苦労したことはないですか?

Bさん ありますよ……。新卒で入社したコンサル会社で営業職をしていた当時は、人生の99%が仕事で。3日間、徹夜で働き続けたら病院に運ばれました。「キャパオーバー」ってあるんだな、とその時初めて気が付いて。私、大学時代や社会人になってからのつながりでメンターになってくれる人が3人ほどいるんです。定期的にそのメンターに会って、考えていることや直面していることをすべて話して、客観的にも自分の状態をモニタリングしてもらうようにしていますね。

Cさん 私も、1社目で体調を崩しました。それで自分のリミットは分かるようになったので、今でも「調子が悪いな」と察知したら無理せず休みます。ただ、面白そうなお仕事が来たら、取りあえず全部引き受ける。負荷が大きくなることはもちろんありますが、先回りして自分に制限をかけないようにしています。その時々で対処すればいいのでは。

Aさん 入社したての頃に体を壊したのは、なんと私も同じです。当時は四六時中、仕事のことを考えていて、土日も会社のメンバーと連絡を取り合っていて……。自分では楽しくやっていたつもりだったんですけど。そういうことが一度あると、働き方を考えるようになりますよね。

副業の良さを「家族が」「同僚が」理解してくれない

Bさん 副業自体、楽しいですけど、あまり周囲に理解されないのも事実です。まず、家族から全く理解されません。「どうしてそんなに働きたいの? 一つでも大変なのに、二つの会社で、って何?」と言われる。私にとって副業は、自分を豊かにする手段の一つでしかないんですけど。

「家族がなかなか副業を理解してくれません。私にとって副業は、自分を豊かにする手段の一つでしかないんですけどね」(写真はイメージ) (C)PIXTA
「家族がなかなか副業を理解してくれません。私にとって副業は、自分を豊かにする手段の一つでしかないんですけどね」(写真はイメージ) (C)PIXTA

 それから、自分なりにキャリアを考えた結果、本業の会社では週5ではなく「週3正社員」を目指したいとも思っているんです。でも、人事に話してみたら「週5で入社してきた人が週3になるのはハードルが高いよ」という回答が。確かに、週5勤務で期待されるアウトプットを週3で出せないと難しいわけですよね。自分のスキルアップも含めて、理想の働き方を実現するには課題があります

Cさん 以前在籍していた金融機関で、職場の人に「(副業なしで)100%コミットしてくれていたら、もっと成果が上がったのに」と言われたのはショックだった。まあ、兼業していると言われがちな言葉ですよね。私のケースに限らず、会社の制度だけ整っていても、現場の上司や同僚にどう見られるか、というのはまた別の話。「1社に勤め続ける」モデルだけしか知らない世代からすれば、副業・兼業に対して理解しにくい部分もあるだろうし。若い世代がマジョリティーになれば、変わってくるのかもしれないけれど。

Aさん 私の場合、副業の満足度が60点なのは、本業もある関係上、どうしても全力を副業に注ぐことはできないフラストレーションがあるのが理由です。この解決策は、難しい。Cさんの話じゃないですけど、「もっとコミットできたら、もっと結果を出せるのに!」と思ってしまうことはどうしてもあります。会社側から「副業の勤務先のほうがメディアの露出が多いじゃないか!」と思われてないか、ふと心配になることもありますね(笑)。

――ありがとうございました。皆さん、副業を楽しんでされている一方、悩みや課題もあるようですね。後編では、副業に対する皆さんの考え方や価値観を伺いたいと思います。

【後編に続く】

文/加藤藍子 写真/PIXTA